2019年11月25日(月)
きょうの潮流
「指導者の批判はしない」「チームで起こったことを公言しない」「指導者を訴える行為をしない」…。どきりとする文言が並ぶ誓約書が保護者に配られていました。大分県日出町の小学生女子バレーボールチームでのことです▼監督による暴力が発覚したのは7月。その後、一部の保護者が口止めのための文書をつくり、署名を迫っていたことが22日、明らかになっています。あまりに常軌を逸した行為にがく然とさせられます▼全国大会に出場経験があるこのクラブ。監督は子どもを平手で殴り、蹴る、顔を床に押し付け、「死ね」の言葉で追い詰めていました。小学校の教頭でもある監督の行為は教育者としても失格というほかありません▼深刻なのは県の連盟が不十分な調査で暴力の認定をしなかったこと、さらには周囲の保護者が暴力に目をつぶり、隠蔽(いんぺい)しようとした事実です。情報を漏らしたと疑われた人を正座させ、詰問すらしていました▼バレーボール元日本代表の大山加奈さんは胸を痛め、ツイッターで「涙が出る…もちろん指導者は許せないけれど子供を守ってあげるべき保護者まで」と吐露しています▼ある調査では、しつけのための体罰を容認する人が約6割にものぼります。スポーツ界から暴力一掃が叫ばれながら、なかなかなくならない背景を見る思いです。親の体罰を禁止する改正児童虐待防止法が来年4月から施行されます。スポーツも含め、子どもをいかに暴力から守るのか。みんなで考え議論すべき課題です。








