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2019年11月24日(日)

きょうの潮流

 一枚の写真が世界に影響を及ぼす聖人の心を動かしました。亡くなった幼い子を背負い、直立不動で前を見つめる「焼き場に立つ少年」。原爆投下後の長崎で米軍カメラマンのジョー・オダネルさんが撮ったものです▼戦争がもたらすもの―。その写真に言葉と署名を添えて関係者に配ったのが、ローマ・カトリック教会のリーダー、フランシスコ教皇です。およそ1300年ぶりに欧州以外から選ばれた教皇は6年前の就任以来、核兵器廃絶を訴えつづけてきました▼広島に原爆が落とされたとき、医師として被爆者の救護に力を尽くした先輩神父の影響。耳を傾けてきた被爆者の証言やとりくみ。核兵器を「人類の悪行」と非難し、「原発はバベルの塔に等しい」と警告する教皇の胸には、平和を守る強い意志が宿っています▼確固たる態度は、これまで核抑止論に対して明確な立場を示してこなかったバチカンにも変化をもたらしました。おととし国連で核兵器禁止条約が採択されると、いち早く批准。核なき世界を展望するシンポジウムも開きました。その姿勢は、唯一の戦争被爆国でありながら批准を拒む日本政府と対照をなしています▼ローマ教皇として38年ぶりとなる訪日のテーマは「すべてのいのちを守るため」。きょう長崎、広島の地に立ちます▼地球環境を憂い、貧しき人びとや社会的な弱者に寄り添い、日本にも深い関心をもってきた教皇。“悪魔の兵器”が使われた被爆地で人類への希望を込めたメッセージが発信されます。


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