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2019年11月20日(水)

高知知事選(24日投票)論戦で対決点鮮明

 自公丸抱えの天下り官僚候補を野党統一の松本けんじ候補が猛追している高知県知事選(24日投票)の対決点が、論戦の中でいよいよ鮮明になっています。


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(写真)握手に駆け寄り、支持を訴える松本けんじ知事候補=16日、高知県土佐市

教育問題

松本候補 県版テストやめ先生増

自公候補 テスト継続押し通す

 松本候補は、「高知のことは高知で決める。ここでいっしょに生きよう。だれ一人取り残さない県政」へと呼びかけ、大きな共感を広げています。

 この中で県政の大事な争点の一つとなっているのが教育問題です。

 現在の尾﨑正直知事が安倍政権直結で進めてきた政治の中で一番悪いものが、子どもたちを「学力テスト」偏重の教育に追い込んだことです。

毎年テスト漬け

 高知では、小学校6年生、中学校3年生の全国学力テストに加えて、中学校1年生、2年生でも県版学力テストを行っているため、子どもたちは、小6から中3まで毎年テスト漬けになっています。

 授業そっちのけで「過去問」をやらせる例も。教員がテスト対策で疲弊し、一番大切な子どもたちに向き合う時間がなくなっています。そもそも高知では教員定数通りの正職員の配置もできておらず、県独自の少人数学級もこの10年間前進していません。

 松本候補は、「テストの点数対策に追われる教育ではなく、子どもたちの疑問や知りたい思いに寄り添える時間的人員的余裕のある学校現場づくりをすすめる」と公約。教員を増やし、県版学力テストをやめ先生が子どもに向き合えるようにすることを掲げています。

 ところが、自公推薦の官僚候補・浜田省司氏は県版学力テストの弊害をまったく認識せず「やめる理由は全然ない」と述べています。

不登校全国2位

 一方では個人演説会で、「私自身もこの2カ月間、県内各地でお話を聞いて、本当に不登校などにお悩みの家庭が増えていると実感している」と述べ、わざわざ松本氏の「だれ一人取り残さない県政」というフレーズを引用しながら、こうした子どもたちへの支援強化に言及せざるをえなくなっています。

 事実、高知県内の小中学校の不登校の児童生徒数は、2013年度の802人から18年度の1059人へと急増。1000人当たりの人数20・9人は全国で2番目に多くなっています。

 松本氏は「学校に居場所を持てない子どもたちがいる理由の一つには、すべてテストの点数ではかられる学校現場がある」と指摘。だからこそ「県版テストをやめて、その予算で学校の先生を増やして、先生がちゃんと子どものそばにいられる学校をつくっていきたい」と訴えています。

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(写真)松本候補を応援する野党共同街宣で訴えを聞く人たち=16日、高知市

医療・福祉

松本候補 国保の子ども均等割廃止

自公候補 大幅値上げが“実績”

 この選挙でもう一つ議論になっているのが、「行政経験」です。

 総務省や府県で幹部職を歴任してきた浜田氏は、自ら「実直な地方行政のプロというのが私の売りだ」と売り込み、「行政経験」がない人には「安心して県政を任すことができない」などと松本氏を攻撃しています。

 しかし、浜田氏がどんな「行政経験」を積んできたというのでしょうか。

カジノ誘致推進

 大阪府副知事時代には、大阪維新の会の府知事のもとで、ギャンブル依存症を増やすカジノを推進。国民健康保険料の大幅値上げを押し付けてきたのが実態です。

 総務省官僚時代も自治体病院の民営化や廃止・統合などを促してきました。

 事実を知った県民からは、暮らしや福祉を、上から切り捨ててきた「行政経験」など「願い下げだ」との声が起きています。

 高知新聞社などが15~17日に行った世論調査によると県民が新しい知事に望む資質のトップは「県民の声をよく聞く人」(37・9%)、最も力を入れてほしい政策は「医療・福祉」(24・2%)がトップです。

時給千円以上を

 現場の声で練り上げてきた松本氏の政策は、県内労働者の20%を占める福祉・医療・介護分野の処遇改善、中小企業支援を抜本的に強め時給千円以上を促す、農林漁業への抜本的な支援―などいずれも県民の切実な要求に根差したものです。

 とりわけ、「社会保障を充実させることは、高知県で暮らし続けられる大事な条件」だとして、国からの押し付けによる公的病院の再編縮小計画には、反対を貫くと明記。国保については、赤ちゃんが1人生まれるたびに国保料が跳ね上がる子どもの均等割の廃止を掲げています。

対国政

松本候補 国の悪政にもの申す

自公候補 国いいなり天下り官僚

 今回の知事選では、国政との関係も問われています。

 浜田陣営は、高知県の自主財源は3割だとして「必要なのは、国との信頼関係だ」と強調。松本氏が勝つと「取り返しのつかないことになる」(桑名龍吾県議会議長)などと脅しています。浜田氏自身も「国が悪かったからと言ってしまうと何も生まれない」などと主張しています。

 そんな国いいなりの天下り官僚政治でいいのかが問われています。

 松本氏は、人口減など県が抱える問題の根っこには国の政治があると指摘。農業破壊や消費税増税など「国の政治に対しても、おかしいことはおかしいと言う県政でないと県民の暮らしと命は守れない」と表明しています。

 これまでの県政のよいところを伸ばし、県政に足りなかった医療・福祉に力を入れ、暮らしを支えることで人口減に歯止めをかけたいと強調。同時に「全国注目のこの選挙での勝利こそ問題の根っこにある国の政治を変えていく巨大な一歩になる」と訴えています。


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