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2019年11月20日(水)

主張

安倍「最長」政権

私物化の政治に終止符打とう

 安倍晋三首相の在職日数が20日で戦前の桂太郎の通算2886日を抜いて歴代最長となります。もちろん明治憲法下の戦前と主権在民が確立した戦後とでは制度が違いますし、長ければいいというものでもありません。とりわけ安倍政権で際立つのは、政治の私物化です。いまの「桜を見る会」の疑惑をはじめ、「森友・加計」疑惑などはその典型です。閣僚に起用した側近政治家の相次ぐ辞任、2度にわたる消費税増税や戦後政府の憲法解釈を大転換した安保法制の強行、9条明文改憲を公言する憲法破壊策動など、モラルの崩壊と民意に反する暴走はあらわです。

モラルの崩壊は底なし

 安倍氏が戦後最年少などともてはやされて、最初に首相に就任したのは、2006年9月でした。安倍氏は就任直後から任期中の改憲を主張し、改憲のための国民投票法制定や教育基本法改悪を強行したものの、年金記録問題の発覚や相次ぐ閣僚不祥事で、07年の参院選で自民党が大敗、体調不良を理由にわずか1年で退陣しました。自らの持論を国民に押し付け、側近政治家を重用する政治の私物化は、当初から顕著でした。

 安倍氏が再び政権に復帰したのは、12年12月です。それ以後7年近くにわたる安倍政権は、「経済再生」を最優先させると言って金融緩和や財政出動、「規制緩和」を柱とする「アベノミクス」を売り物にしてきました。日本経済は再生するどころか国民の暮らしは苦しくなり、貧困と格差は拡大しています。とりわけ14年4月に消費税を8%に増税してから長期にわたって消費の不振が続き、家計の実質消費支出は年間25万円も減少しています。戦後最長の「景気拡大が続いている」と自慢していたものの、昨年末以降は不況色が濃くなるばかりです。暮らしと経済を破壊した責任は重大です。

 「長期政権」下のモラルの崩壊と政治の私物化は底なしです。首相自身に関わる「森友学園」や「加計学園」の疑惑で批判を集めたことに続き、いままた首相主催の「桜を見る会」疑惑が大問題になっています。税金を使った公的行事を、自分の後援会活動のために私物化するなど言語道断です。来年の「桜を見る会」を中止しただけでは済まされません。

 問題は首相だけではありません。第2次安倍政権以降だけでも「政治とカネ」の疑惑などで辞めた閣僚は9月初めの内閣改造からわずか2カ月足らずで辞任した菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相を含め10人に上ります。首相は口先では「任命責任」を認めますが、“お友だち”や側近の政治家で政権を固め、忖度(そんたく)や情報隠ぺいを横行させたことには全く無反省です。

日本の民主主義に有害

 歴代政府の憲法解釈を百八十度転換させた安保法制=「戦争法」の強行や、戦後憲法を否定する改憲策動への固執は、首相による憲法の私物化です。不況が深まるにもかかわらず10月からの消費税増税を強行したのは、税・財政の私物化に他なりません。

 安倍首相の在職日数が歴代最長になる直前に行われた世論調査では、軒並み支持率が下落しました。戦後最悪の安倍政権が続くことは日本の民主主義にとって有害です。市民と野党が力を合わせ、安倍首相を一刻も早く退陣させましょう。


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