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2019年11月19日(火)

台風・豪雨災害に関する申し入れ

2019年11月18日 日本共産党国会議員団

 台風19号災害から1カ月という時間が経過したが、河川の決壊や内水氾濫、土砂災害などによる大量の泥や被害家屋などのがれきの撤去はいまだ喫緊の課題である。9月初めから10月末にわたる一連の台風・大雨による災害であり、東日本大震災の被災地を含め復旧・復興途上での相次ぐ被害に、被災者は心身ともに疲れ果てており、今後の住宅と生業(なりわい)再建への見通しを持って、再建に取り組むことができるようにすることが求められている。

 政府は、8日、前日の非常災害対策本部でまとめた「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」にもとづく予備費(1316億円)の使用を閣議決定した。

 「対策パッケージ」を被災者・被災地のすみずみに周知し、速やかに実行することはもちろん、生活と生業の再建のために必要とされる支援をやりつくすことが求められる。「求められている支援はすべてやる」という立場で政府の責任を果たすことを求め、以下の事項の実現を申し入れる。

 1、被災者への情報提供と支援メニューの実施を一刻も早く徹底すること

 被災者からは、度重なる被災によって住宅の再建をあきらめ、廃業・離農をせざるを得ないとの声が寄せられている。日一日と寒さが厳しくなる今、被災者が意欲を失うことなく希望をもって再建に取り組めるようにすることは喫緊の課題である。対策は一刻も早く実施されなければならない。

 「対策パッケージ」をはじめとした支援情報が、被災者に迅速かつ確実に提供されることを重視するとともに、被災者の相談にていねいに応じる体制を確立すること。支援メニューの実施主体とされる市町村では深刻な職員不足が指摘されており、被災自治体任せにせず、国として専門家や他自治体からの応援職員の派遣に万全を期すこと。

 2、災害救助法の全面的な活用をはじめ、避難者の生活環境の改善をはかること

 避難所はもちろんのこと、在宅などで不自由な生活を余儀なくされている被災者についても、防寒対策や温かい食事の提供や入浴の確保など、安心して生活できる環境を政府の責任で確保すること。

 被災者が利用可能な応急的な住まい(公営住宅、UR賃貸住宅、国家公務員宿舎、民間賃貸住宅、ホテル・旅館等)をすみやかに確保するとともに、在宅被災者を含め、家電や寝具等の生活必需品について、災害救助法にもとづく生活必需品の支給をおこなうとともに、実情に即した品目や現金による給付を検討すること。

 来年1月末までとしている被災者の医療費一部負担の免除等については、インフルエンザの流行等で被災者が体調を崩しやすいのは冬~春季(1~4月)であること等、被災者の実態に応じて期限を延長すること。

 応急仮設住宅の建設にあたっては、木造住宅を原則とするとともに、集落単位の生活の確保やコミュニティースペースの確保など、被災前のコミュニティーを最大限尊重し、住民が孤立しない対策を進めること。

 3、住宅再建への公的支援を強化すること

 被害の深刻な市町村ほど住宅の被害調査が遅れ、1次調査の基準による機械的認定への批判も強まっている。被災住宅の被害認定は、浸水や堆積土砂の深さだけにより画一的におこなうのではなく、住宅としての機能に対する被害の程度を正確に反映することを徹底すること。被災地への全国的な応援職員の派遣をおこなうとともに、罹災(りさい)証明書発行後の再調査にも積極的に応じることを徹底すること。

 「一部損壊(準半壊)」について、災害救助法の「応急修理」の対象を拡大するとしたことは、被災者の声に一定こたえたものである。一方、既に補修工事を行った被災者は「資力あり」とみなされ、工事費請求を認めないケースが各地で問題になっている。柔軟で弾力的な運用を周知するとともに、住宅再建支援制度そのものを改善し、支援対象の「半壊」や「一部損壊」への拡大と支援限度額の抜本的引き上げ(当面500万円)を早急に実現すること。

 4、農林漁業被害への対策を強め、中小企業の再建を支援すること

 深刻な被害のもとで、被災農民のなかからは、再建を断念する人も出てきている。「対策パッケージ」にもとづく農業用機械の再取得などに対する補助率引き上げは、台風19号に限定せず一連の災害に対する支援として実施することをはじめ、収穫後の農産物への補償など収入がない期間への支援、被災農家の自己負担なしの支援など、実態に即した支援とすること。

 店舗・工場、設備、什器(じゅうき)・備品、車両などに対する深刻な被害をうけた中小企業に対する「中小企業等グループ補助金」や被災地域向けの「小規模事業者持続化補助金」については、台風19号の被害に限定せず、実態に応じて補助率のかさ上げや上限額を引き上げるなど、「寄り添い型」の支援をおこなうこと。「自治体連携型補助金」の積極的活用を都県に働きかけること。

 5、復旧途上での被災自治体に対する支援は柔軟におこなうこと

 台風21号の影響で千葉県や福島県では記録的大雨となり甚大な被害をもたらした。それまでの台風や大雨により深刻な被害をうけ、復旧や再建の途上での災害であり、特別の支援が求められている。

 連続した災害として激甚災害に指定し被災自治体等への支援を強化するとともに、被害認定を柔軟におこなうこと。福祉や保健分野を含めた必要な専門的人材の派遣については派遣元への支援も含めた派遣をおこなうこと。


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