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2019年11月18日(月)

教員変形労働制適用

健康障害リスク高まる残業時間前提 死亡最多時期に労働時間延長

議論するほど過労死促進鮮明

だから強引審議 安倍政権・与党

 安倍自公政権は、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制(変形制)を適用できるようにする教員給与特別措置法(給特法)改悪案を、衆院文部科学委員会で、わずか4日の質疑で強引に可決しました。審議を急ぐ背景には、議論すればするほど教員の過労死を促進する法案の問題が横たわっています。(佐久間亮)


 政府は、変形制を導入すれば、学期中の所定労働時間を延ばして、その分「閑散期」の夏休み中に休日をまとめ取りできるようになるといいます。

人権感覚なし

 日本共産党の畑野君枝議員は15日の委員会質疑で、そもそも夏休みが「閑散期」だという事実が存在するのかと追及。文科省は、時間外労働45時間以下の教員の割合が4~6月は4割なのに、8月は9割になるという横浜市教育委員会の調査を持ち出し、正当化しようとしました。しかし同調査は、他の時期に比べ8月の時間外労働が短い証明にはなっても、8月が「閑散期」だという証明にはなりません。

 しかも、厚労省の過労死防止パンフレットは、時間外労働がおおよそ月45時間を超えて長くなるほど脳・心臓疾患の発症リスクが高まると指摘しています。月45時間で線を引いた調査を根拠に「長期休業期間中は教師の業務は比較的穏やか」(萩生田光一文科相)というのは、安倍政権の人権感覚のなさを露呈するものです。

 そもそも、変形制は、恒常的な時間外労働は存在しないことが大前提です。変形制自身が労働者の生活リズムを不規則にし、生活や健康に深刻な不利益を与えるからです。

 ところが、文科省は、時間外労働月45時間、年360時間以内を「変形制導入の大前提」だとし、恒常的な時間外労働が存在する学校であっても適用可能との認識です。

繁忙期に拍車

 畑野議員の質問に文科省が、変形制で所定労働時間を延ばす「繁忙期」について、年度当初と、運動会や文化祭などで業務量が増える6月や10月を想定していると答弁したことも重大です。

 全国過労死を考える家族の会の工藤祥子さんは12日の参考人質疑で、公立中学校教師だった夫が4月の転任後に過密・過重労働に追われ、6月の修学旅行直後に亡くなったこと、会で把握している死亡事案でも5月と6月が最多になっていることを指摘。「長期休暇まで心身ともにもたない。変形制は過労死を促進してしまう」と訴えました。

 過労死の危険が最も高まる4~6月の所定労働時間を変形制で延ばすという文科省の答弁によって、給特法改悪案の本質が「過労死促進法案」だということがいっそう鮮明になっています。


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