しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年11月17日(日)

きょうの潮流

 どうして、心優しき青年が悪の代名詞のような存在になってしまったのか。人びとに笑いと喜びを届けたいと願っていただけなのに、彼は憎悪の渦に巻き込まれていく▼全米公開わずか3日で100億円の興行収入を記録し、日本をふくめ世界的な大ヒットとなった映画「ジョーカー」。人気シリーズ、バットマンの敵役として登場するジョーカーが誕生するまでを描いています▼貧富の差が拡大し、暴力がはびこり、疲弊する人や街。貧しい道化師の主人公は、脳の損傷から緊張すると笑いの発作に襲われますが、福祉は削られて相談員や薬も断ち切られる。同居する母は心身を病み、仕事も首になり追いつめられていきます▼悪に染まっていく、その切なく、悲しい姿に世の共感がひろがっています。映画評論家の町山智浩さんは見る人によってとらえ方が全く違うといいます。マイケル・ムーア監督のように「社会的弱者の代弁者」と絶賛する一方で、過激な価値観をもつトランプ大統領の支持層にも受け入れられていると▼独自の物語をつくったトッド・フィリップス監督は、ある種の扇動につながるとの批判にこう答えています。「表面的なものではなく、その奥底に何があるのか、人びとを導くものは何かについて議論されることを望む」▼国民を線引きする政治は、多様な社会をともにめざす新たな胎動をも生みだしています。カードのジョーカーは負け札にも最高の切り札にも。それを変えるのは、あなた次第と呼びかけるように。


pageup