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2019年11月13日(水)

綱領一部改定案についての提案報告と第28回党大会決議案の用語解説(下)

「北東アジア平和協力構想」

 日本共産党第26回大会(2014年)で提唱した、次の四つの目標と原則に基づく構想。(1)武力行使の放棄、内政不干渉などをルールとする北東アジア規模の「友好協力条約」を結ぶ(2)北朝鮮問題は米、韓、中、日、ロと北朝鮮の「6カ国協議」の2005年9月の「共同声明」に立ち返り、朝鮮半島の非核化、日朝国交正常化を実現し、6カ国協議を平和と安定の枠組みに発展させる(3)領土紛争を歴史的事実と国際法に基づき外交的解決をめざす行動規範を結ぶ(4)日本による侵略戦争と植民地支配への反省は不可欠の土台で、未解決の問題を解決し、歴史を偽造する逆流の台頭を許さない。

核燃料サイクル

 ウラン燃料を原子炉で“燃やす”と、ウランの一部がプルトニウムに変わります。このプルトニウムを取り出して核燃料として再利用するのが「核燃料サイクル」です。発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出すとされた高速増殖炉「もんじゅ」が事故・不祥事続きで廃炉となり、核燃料サイクルは破綻に追い込まれました。しかし安倍政権は、エネルギー基本計画に「核燃料サイクルの推進を基本的方針」と明記し、既設の原発でプルトニウムを使う「プルサーマル」を進めるとしています。破綻した核燃料サイクルからも原発からも撤退し、「原発ゼロの日本」をつくることが求められています。

性的指向と性自認

 どういう性別を恋愛・性愛対象とするかしないかを「性的指向」、自分をどういう性別と認識するかしないかを「性自認」といいます。性のあり方は多様であり、人格の根本に関わるものです。異性愛者も、同性愛者も、出生時の性別に違和を持つ人も持たない人も、それによって差別されたり不利益を受けたりすることがあってはなりません。「性的指向と性自認」は誰もが持っています。これによる差別をなくす取り組みは、特定の集団に「新しい権利」や「特権」を与えるかどうかという話ではなく、すべての人が人権を保障される社会をつくろうということです。

労働時間を規制する工場立法

 19世紀中頃、イギリスの労働者階級は、それまで無制限だった労働時間を1日10時間に短縮させるルール(工場立法)をかちとりました。マルクスは『資本論』で、利潤第一主義が支配する資本主義社会で、資本の横暴な搾取から労働者とその家族を守るためには、工場法という国法によって労働時間の制限を資本に強制することがどうしても必要だとくりかえし強調しています。つまり、法律によって労働時間の短縮を実施させるということです。こうした社会的ルールは、資本主義とともに役割を終えるものではなく、新しい社会の「形成要素」に発展する――未来社会にすすむうえでの客観的・主体的条件をつくりだすと述べています。

ワイマール憲法のもとでのドイツなどの経験 

 第1次世界大戦での敗北を契機に帝政が崩壊したドイツでは、当時世界でもっとも民主的といわれた「ワイマール憲法」が制定(1919年8月)され、制度上「自由と民主主義」が保障されたにもかかわらず、ナチス独裁の出現を許したことなどを指します。法律に代わって大統領緊急令が乱発されるなど議会制民主主義の形骸化がすすむなか、33年1月に少数内閣として成立したヒトラー政権は、国会議事堂放火事件を利用して反対政党を徹底的に排除しながら総選挙を実施して過半数を獲得。33年3月、政府に憲法修正を含む立法権を与える授権法(全権委任法)を可決させ、独裁権力を樹立しました。

2、第28回党大会決議案

第一決議案第2章

憲法99条「憲法尊重擁護義務」

 憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。公務にたずさわる人すべてが、憲法にしたがって、偏りや誤りのないよう政治や行政を遂行する義務を、国民にたいして負っていることを確認する規定です。条文には国務大臣、国会議員などが特別に明示されています。改憲の立場に立つ国会議員でも、行政や立法にたずさわるときには「憲法尊重擁護義務」が重くあるということです。このような義務がある総理大臣が憲法を改正しようというのは、憲法99条に反する行為です。

対ロ領土交渉で「2島決着」の立場

 安倍首相は、今年1月の日ロ首脳会談に際し、自らの任期中での領土問題の解決を掲げ、1956年の日ソ共同宣言を基礎に北海道の一部である歯舞と色丹の返還で平和条約を締結する方針を示しました。平和条約は国境の最終画定を意味するもので、択捉、国後、歯舞、色丹の「4島返還」という自民党政権の従来の方針をも覆す、事実上「2島決着」の立場です。日ロ領土問題の解決のためには、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則が踏みにじられた不公正をただし、全千島の返還を正面から求める道理ある立場に立つことが必要です。

日本会議

 「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」を統合して、1997年に結成された改憲右翼団体。会員数3万8000人(2016年)とされ、全国47都道府県に本部、区市町村に240を超える支部があり、草の根の改憲運動を展開しています。戦前の「国柄」を美化し、日本国憲法は「押し付け」だとして新憲法制定を提唱。「行きすぎた権利偏重の教育、…自虐的な歴史教育、ジェンダーフリーの教育の横行は、次代をになう子供達のみずみずしい感性をマヒさせ、国への誇りや責任感を奪っています」と攻撃し、夫婦別姓法案や男女共同参画条例に反対しています。

徴用工

 戦時などの非常時に国家が国民を強制的に動員して仕事に就かせることを徴用といい、そこで働かされる労働者を徴用工と呼びます。日本政府は1939年、国家総動員法に基づき国民徴用令を公布。日本が植民地としていた朝鮮半島や中国の占領地域からも、民間人を日本本土へと送りました。朝鮮半島では、地域に割りあてられた数の労働者を集めるために、しばしば脅迫や拉致同然の手段が用いられました。これらの人々は、日本で軍需工場や鉱山に送られて、監視下に置かれて過酷な労働を強制されました。韓国政府は、約22万人が「強制動員」の被害者で、このうち強制労働(労務者)は約15万人と発表しています。

13項目の「共通政策」

 参院選にむけて5野党・会派が「市民連合」と確認した13項目の政策合意は、これまでの野党間の合意をふまえ、さらに発展させるものとなりました。安保法制廃止と立憲主義回復をはじめ、安倍政権の憲法「改定」反対、沖縄の基地問題、原発ゼロの実現、消費税10%増税中止、最低賃金1500円、LGBTs(性的少数者)の差別解消など、国政の基本問題で共通の旗印が立ちました。それ以外にも、野党は、国会での共同の取り組みや選挙公約などを通じ、農業政策、災害対策、気候変動、核兵器禁止条約の批准などでも、政策的一致が広がっています。

「2050年 CO2排出ゼロ」

 風水害、熱波、山林火災など地球の温暖化による影響が深刻化していますが、国連は温暖化による大被害を避けるため、2015年にパリ協定を採択。産業革命前と比べ平均気温の上昇を2度より十分低く抑え、1・5度に抑える努力目標を掲げました。その実現のためIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2050年ごろまでに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする必要性を示しました(2018年10月)。今年の参議院選挙では、日本共産党は「2050年前後に温室効果ガス排出量を実質ゼロ」、立憲民主党は「2050年 CO2排出ゼロ」、社民党は「できるだけ早い『排出ゼロ』」を公約に掲げました。

第一決議案第3章

経済財政諮問会議

 「経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他」を決定することを任務に、2001年、内閣府に設置された重要政策に関する会議。首相を議長に関係閣僚や学識経験者などから構成されています。小泉内閣のもとで、郵政民営化などの「構造改革」を推進する役割を担いました。また、それまで年末に決定されていた予算編成方針が、この会議が6月に示す骨太の方針にそって決められるようになりました。民主党政権では諮問会議も骨太の方針も休止しましたが、第2次安倍内閣によって復活しました。

第一決議案第4章

フラワーデモ

 2019年3月、全国の4地裁で性暴力の無罪判決が相次いだことに抗議し、性暴力を許さない社会をつくろうと4月11日、東京駅前に数百人が花を持ち、あるいは花柄のものを身につけて集まりました。自らが過去に受けた性暴力被害についてや、性暴力のない社会を実現する願いを語るスピーチに、参加者が耳を傾け、心を寄せ合う温かい空間がつくりだされました。以後、毎月11日に行われています。刑法改正の議論に被害者の声が反映されることを求めて、当面来年3月まで行われることが告知されています。開催都市は月を追うごとに広がり、11月は全国27都市で行われました。

JCPサポーター

 日本共産党後援会の活動を「党に新しい注目を寄せ、応援しようという人々が、参加しやすい活動へ」と発展させるために、2018年2月に発足しました。ネット、SNS、各地でのミーティングなどを通じて市民と日本共産党が日常的に結びつき、双方向で意見交換をすすめ、力をあわせて選挙をたたかっています。今年の統一地方選や参院選では、ガーベラをモチーフにしたバックバナーやポスター・動画などの宣伝物の作成、選挙事務所づくり、候補者の演説や服装の改善、募金活動など、多彩な新しい実践を広げてきました。会員は現在1万人を超えています。JCPサポーターには、サポーターのホームページ・LINEから、誰でも登録できます。

第二決議案第4章

ハラスメントを根絶する

 ハラスメントとは、いじめや嫌がらせなど相手の人格や尊厳を傷つける行為で、性的発言や行動(セクシュアルハラスメント)、精神的・身体的苦痛を与える行為(パワーハラスメント)など、多岐にわたります。2019年6月、国際労働機関(ILO)が「仕事の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」を採択するなど、ハラスメントの根絶は世界の流れです。市民道徳と社会的道義を守ることを規約で掲げ、真に平等で自由な人間関係の社会をめざす党として、個人の尊厳とジェンダー平等など社会的・国際的到達点を学び、党員一人ひとりの日常活動でもハラスメントを根絶する意識的努力が大切です。

 (おわり)


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