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2019年11月7日(木)

高知知事選 24日投票

教育県、いいですね

 24日投票の高知県知事選で、野党統一の松本けんじ候補(35)が土佐町在住の教育研究者、鈴木大裕(だいゆう)さん(46)と初めて会い、対談しました。鈴木さんは3年前に米・ニューヨークから人口4000人弱の同町に移住し、今年4月の町議選(定数10)でトップ当選=無所属=。知事選では松本選対の町内の支部長として尽力しています。


写真

(写真)対談後、鈴木さん(左)と握手する松本候補

松本けんじ知事候補 子ども中心の改革を進めます

みんなで作る政策は新鮮 教育研究者 鈴木大裕土佐町議

 鈴木 テレビで見るより男前ですね。(笑)

 松本 それはこちらのセリフです。(笑)

 著書を興味深く読ませてもらいました。鈴木さんは土佐町で、教育を通じて地域をおこそうと取り組まれています。子どもを人と人との関わりの中心に置いて地域をつくろうとされていますね。

 鈴木 僕は子どもの教育を通して社会のあり方そのものを問い直す、ということをモットーにしています。だから、「議員にならない?」と誘われたとき、最初は断ったんです。なぜかというと、どんなポジションにいても、自分がやっていることは政治だと思ってきたので、あえて政治家になる必要はない。逆に、自分みたいな人間は教育界にいた方が面白いでしょ、と。

 代わりに何人かに声をかけたら、ことごとく断られました。月の手取りは16万円ぐらいで年金もない、健康保険もない。子育てをできるわけがない。誰かが先例をつくらなかったら4年後も若手が出ないと思いました。

先生が多忙

 松本 同感です。土佐町の教育で大事にされていることは?

 鈴木 先生たちが忙し過ぎることで、子どもたちの学習権さえも保障できていないことが問題です。生徒と過ごす時間もない。教材研究する時間すらない。専門でない部活までやらされている。要は訓練を受けた専門性を発揮できていません。

 ですから、先生の専門性を発揮できる環境をつくりたいと、総務教育厚生常任委員長になったとき、「みんなで学校の先生に会いに行きましょう」と提案し、土佐町に一つしかない小・中学校の全教職員と意見交換会をしました。校長先生が喜ばれ、校長会で紹介したら、みんなにうらやましがられたそうです。先生たちもこんな機会は初めてと言い、議員も喜んでくれました。

 松本 素晴らしい。

逆転の発想

 鈴木 土佐町に来て、大事だと思うのは“せっかく”という概念、マイナスをプラスに変える逆転の発想です。「子どもがこれだけしかいない」と見るのか、「せっかくこれだけしか子どもがいないんやき、一人ひとりの夢を支援できるよね」とするのか。「空き家ばっかりある」と見るのか、「せっかくこれだけ空き家があるんやき、こういうふうに使っていこうよ」とかね。

 松本 財産ですね。

 鈴木 そうです。

 松本 その視点、大事にしたいと思っています。今、世界が求めている持続可能な社会のあり方を実現できる潜在能力を持っているのが高知県だと思っています。暮らし続けられる社会のモデルです。

 鈴木 松本さんの教育政策づくりに関わらせてもらいました。テレビに出演する大学教授などみんなで練り上げ、おそらく、日本の教育界も注目する政策です。

 松本 県版の学力テストを廃止し、その財源で教員を増やすなど、子どもを中心にした教育改革をすすめます。他党のみなさんの意見も聞いて修正し、自分が納得できるものを残していく。みんなでつくったものです。

 鈴木 僕はそのスタンスがとってもいいなと思います。みんなでつくり上げていく、そういう政治のあり方は、とても新鮮だし、面白い。「勝ち組」「負け組」の社会のなかで置き去りにされている人たちがいる。みんなで「勝ち組」をめざすのではなく、一人ひとりの幸せという視点から政治を見つめ直していくことだと思います。

ロマンある

 松本 私は若いころからずっと、若い人たちの仕事の実態調査などに取り組んできました。よりよく生きたいんだけれども生きられない、この場所で暮らしたいけれども暮らせない、といった歯がゆさやあきらめ、さみしさを聞いてきました。ところで、なぜ土佐町に来られたんですか?

 鈴木 町おこしにはいろんなやり方がありますが、教育で町おこしって、あまりないですよね。町の存続を次世代の教育にかける。ロマンがあっていいなと思いました。

 松本 県としてもやりたいと思っています。

 鈴木 教育県、いいですね。

 松本 子どもが安心して教育を受けられたり、教育のなかで自分自身を獲得していくことができるような場所って、きっとおとなにとっても暮らしやすい県だと思います。いまの社会で弱い立場に置かれている人が生きやすい社会って、おそらく、みんなにとっても生きやすい社会だと思います。土佐町の取り組みはすごく面白いです。

 鈴木 まわりの議員さんたちもよく耳を貸してくれるし、とてもいい雰囲気です。


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