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2019年11月5日(火)

主張

高等教育の無償化

授業料免除制度の後退許すな

 大学の学費をめぐって、安倍晋三政権の下で、「高等教育無償化」どころか、多くの学生にとって負担増になりかねない事態がすすんでいます。授業料減免制度の後退の危険や、学費値上げの動きの広がりです。

格差拡大につながる危険

 「減免制度がなければ大学に通えなかった同期の人がいる。いまの減免制度を維持して」「大学が突然、授業料値上げを発表した。根拠とプロセスを明らかにしてほしい」「学費は年々上がっている。無償化というなら所得に関係なく支援を」―。高等教育無償化を求める学生団体FREEの学生たちが先月末、国会前で次々にマイクを握り、切実な声を上げました。

 安倍政権は、「高等教育無償化」といって、2020年度から、消費税を財源とした大学修学支援制度を新たに導入します。新制度では、低所得世帯(非課税世帯とそれに準ずる世帯)を対象に給付奨学金の支給と、授業料減免の両方が実施されます。低所得世帯への支援は当然実施すべきですが、低所得世帯に負担の重い消費税増税を財源にしていることは大問題です。対象となる学生も、全学生の1割程度に限定されています。

 さらに安倍政権は、新制度と引き換えに、中間所得世帯まで対象となっている現行の授業料減免制度の廃止を狙っています。いまの制度がなくなれば、中間所得世帯を中心に、国立大学で利用者の約半数にあたる2万4千人が支援を受けられなくなるか、支援額が減らされます(文部科学省調査)。私立大学でも支援が受けられなくなる学生がうまれる可能性があります。新制度の対象外という学生は「以前は、週6日、週40時間近くアルバイトし、講義中に眠る生活。減免を受けるようになり、仕送りが増え、アルバイトを減らし、授業に集中できるようになった。元の生活には戻れない」と支援の継続を強く訴えています。「無償化」をいいながら、中間所得世帯への支援切り捨ては許されません。

 現行制度の維持を求めた日本共産党の小池晃書記局長の参院代表質問に、安倍首相は「継続的な学びを支援する観点からいかなる対応が可能か」「早急に検討する」と答弁しました(10月9日)。問題の深刻さを認めざるを得なかったものです。在校生はもちろん、20年度以降の新入生も、今までどおり減免が受けられるよう制度維持のため、予算確保をすべきです。

 国立大学で授業料値上げが相次いでいることも重大です。19年度は東京工業大学や東京芸術大学が、20年度は一橋大学や千葉大学が20%(約10万円)の値上げです。私立大学授業料も上昇傾向です。授業料値上げが、減免制度の後退とセットですすめば、多くの学生にとって大幅な負担増となり、新たな教育格差の拡大につながりかねません。値上げについては、事前に学生や教職員など関係者に知らされず、大学側の一方的な決め方にも怒りが広がっています。

若者と野党が力合わせ

 若者と野党が力を合わせれば、政治は動かせます。大学入試の英語民間試験導入を延期させたのは、公平・公正な入試を求めて高校生らが声を上げ、野党も力を合わせた成果です。日本共産党は、授業料減免制度の維持、学費値下げを、若い人たちと一緒に実現するために、さらに力を尽くします。


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