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2019年10月31日(木)

きょうの潮流

 人類は頭ひとつだけ低くなった。しかも最も大事な頭を―。盟友マルクスの死をそう嘆いたエンゲルス。残されたぼう大な遺稿をめぐる、彼の苦闘が始まります▼乱雑に山積みされたうえに、解読も難しい「象形文字」で書かれた文書。自身も病魔におかされ、世界中の労働運動から要請される仕事に追われながらの難行苦行。まさに『資本論』に生涯をささげたマルクスと同じく、命を削る作業でした▼エンゲルスの死後、遺稿は波瀾(はらん)万丈の旅を余儀なくされます。地下室でネズミに脅かされた後、ドイツの社会民主党に渡った文書はナチスの弾圧にさらされます。隠された塗装職人の家ではローラーやペンキ入れのすき間に押し込められ、床はぬれ汚れていたといいます▼まもなく古文書商のもとに移され、目につかないように他の文書の間に挟まります。その後、協力者の手から手へと国境の沼地を渡り、国外に運ばれました(『偉大な遺産―マルクス遺稿物語』)▼先人たちの労苦によって歴史に受け継がれた遺産。苦しみから人類を解き放つよりどころとなったそれは、いま日本で刊行されている新版に結集されました。監修した不破哲三さんはマルクスが到達した理論的立場をより鮮明にする、これまで世界に例がないものだといいます▼一般紙が再びマルクスに学ぶと経済学者の大型インタビューを載せるなど『資本論』への注目が高まっています。くらしを脅かす気候変動や経済格差に直面する人類。未来を開く鍵はここにある、と。


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