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2019年10月29日(火)

「表現の自由」危惧

海外の日本研究者ら170人

声明に賛同

 【ベルリン=伊藤寿庸】国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」での企画展「表現の不自由展・その後」の中止や文化庁の支援撤回などの動きを懸念する、欧米などの日本研究者がこのほど共同声明を発表し、日本政府が憲法に基づき芸術家、ジャーナリスト、学者の権利を保護するよう求めました。28日までに賛同者は約170人に上っています。

 この「日本の芸術家、ジャーナリスト、学者を支持する声明」は、日本で「表現の自由が脅かされている現状に深い懸念を表明」。文化庁に「あいちトリエンナーレ」への支援中止の撤回を要請しています。

 また「政治と行政が表現の自由に敵対する勢力から芸術と学問を守らずに、ポピュリストの要求を(…)受け入れ、テロリストの恫喝(どうかつ)に屈する」のは「到底受け入れられるものではありません」と指摘。日本政府、日本の政治指導者に対し、「ヘイトスピーチその他のあらゆる言語的・非言語的な脅しに立ち向かいたたかうという法的義務を果たす」よう求めています。

 声明には、米、英、独、仏、オーストリア、豪、韓国などの日本研究者や美術研究者が名前を連ねています。

日本の芸術家、ジャーナリスト、学者を支持する声明(全文)

 署名者は、日本において表現の自由が脅かされている現状に深い懸念を表明し、日本政府とそのすべての機関に対して日本の憲法に明記されている芸術家、ジャーナリスト、学者の権利を保護するために必要な措置を講じるよう求めます。特に、文化庁に対して国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への支援中止の決定を撤回するよう要請します。

 民主的かつ多元的な社会において、政治と行政が表現の自由に敵対する勢力から芸術と学問を守らずに、ポピュリストの要求を唯々諾々と受け入れ、あまつさえテロリストの恫喝(どうかつ)に屈するなどということは到底受け入れられるものではありません。

 私たちは、海外の芸術家や学術関係者および諸機関と日本の政府機関との間の協力関係に支障が生じかねないほどに、日本の公的機関に対する信頼が甚だしく損なわれてしまったことを深く憂慮しています。

 私たちはまた、日本政府ならびに日本の政治指導者が、国際協力、和解、平和の精神に敵対するヘイトスピーチその他のあらゆる言語的・非言語的な脅しに立ち向かいたたかうという法的義務を果たすよう切願します。

 最後に、私たちは、日本政府とすべての責任ある政治家に対して、表現と意見の自由を追求する日本のすべての芸術家、学者、ジャーナリストに心からの、かつ公的な支援を提供するよう、また平和と国際理解に関する政治問題の自由かつオープンな議論を促し、それによって人間の成長と発展の真の源である自由、多様性、創造性の安全な港としての日本の名声を回復するように強く訴えます。

 (ベルリン=伊藤寿庸)

主な賛同者

 この声明への賛同者には以下の各氏が含まれています。(敬称略)

 米国=アレクシス・ダデン、シェルドン・ガロン、アンドルー・ゴードン、ジェフリー・キングストン、ビクター・コシュマン(いずれも日本史研究者)、ルイーズ・アリソン・コート(スミソニアン博物館、東洋美術史)

 英国=ジーナ・バーンズ(考古学)、スティーブン・ドッド(ロンドン大学東洋アフリカ学院、日本文学)

 ドイツ=イルメラ・日地谷・キルシュネライト(日本文学)、アデーレ・シュウロンブス(ケルン東洋美術館長)、メラニー・トレーデ(日本美術史)

 オーストラリア=テッサ・モリス=スズキ(日本史)

 オーストリア=セップ・リンハルト(日本社会学)

 フランス=セシール・坂井(日本文学)

 韓国=林志弦(イム・ジヒョン、歴史学)


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