2019年10月25日(金)
きょうの潮流
教員の私たちが大変になるという問題にとどまらない。この国の教育をどう考えるか、という国民の問題なんです―▼1年単位の変形労働時間制導入に批判が強まっています。「繁忙期」に長く働かせ、「閑散期」の勤務時間を短くして夏休みも取りやすくする、と言い張る国。でも、「今は何とか頑張ろう」という無理は長続きしない。なぜなら生身の人間だから▼子育てや介護と両立ができなくなるだけではない。「乏しい生活時間が、さらに奪われる」と教員は危機感を募らせます。新聞を読めないどころか、テレビを見る気力さえわかない。平日の所定勤務時間が延びれば、学校と家との往復だけ。それでどうして、豊かな教育実践をつむぐことができるのかと▼「変形制」の名前通り、労働時間の総量は減らさずに「変形」させて、負担軽減のようにごまかすしくみです。おしなべて教育にお金をかけないこの国の貧しい発想が、これほど浮き彫りになる施策も珍しい▼「教職員がこんなに過酷な労働を強いられているとは」「親として、教師を取り巻く環境の改悪ではなく改善を望みます」…。現役教員が呼びかけたネット署名には、保護者や市民からの声も続々と寄せられています。共産党は21日、長時間労働解消のための提言を発表。導入を許さない世論と運動を強めようと呼びかけます▼教員を人として尊重する。子どもを人として尊重する。この二つを重ね合わせてこそ、幸せな学校に。そのために、ほんの少しの勇気でその手をのばして。








