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2019年10月20日(日)

きょうの潮流

 鉄格子があり、暗くて閉鎖的…。こんなイメージを覆す刑務所があります。ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」(来年1月公開予定)の舞台は、鉄格子のない明るい施設。初犯者など犯罪傾向の進んでいない人が入所しています▼映画は、そこの更生プログラムを受講する4人の受刑者を追います。受講生が円(サークル)になって座り、テーマに沿ってお互いに語り合う姿がたびたび映し出されます▼そこからあぶり出されたのは暴力の連鎖。受講生は加害者であると同時に、虐待やいじめなどの被害体験を抱えた人たちでした。布団たたきとガムテープが苦手な人。「忘れたいのか、忘れちゃいけないのか」と、家族と過ごした日々がどうしてもよみがえらない人▼「負の感情に向き合うのが苦手。楽しいことに置き換えちゃう」という人も、語り合いの中でしんどい過去を振り返る。窃盗に対して罪悪感のない人が、自身や他者の感情を理解することができるように。同時に、なぜ罪を犯したのかを理解していきます▼プログラムでは、受講生は番号ではなく名前で呼ばれます。支援者と受講生の関係が対等で、一人ひとりがひととして尊重されています。受けた人の再入所率は他と比べて半分以下という調査結果も。だけど、受講者数は30~40人程度と限られています▼「刑務所は社会の写し鏡でもある」と監督の坂上香さん。暴力の連鎖を断ち切るためにはどうしたらいいのか。犯罪を減らすには。この映画は問いかけています。


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