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2019年10月19日(土)

主張

スポーツ環境整備

“国民の権利”にふさわしく

 ラグビーのワールドカップで、日本代表のベスト8入りにわき、海外の選手・観客らとの多彩な交流も広がっています。日本はさまざまなスポーツ文化が触れ合う秋を迎えています。

 14日は「体育の日」でした。1964年東京五輪の開会式だった10月10日を記念し、国民の健康や体力増進、スポーツの参加を啓発するために設けられました。2020年には「スポーツの日」に生まれ変わります。

「運動不足感じる」8割

 観戦だけでなく、自分も運動したいと思っても、実際にできる人は、そう多くありません。

 スポーツ庁の調査(2018年度)では、「運動不足を感じる」と答えた人は実に8割に及び、スポーツに親しみたくてもかなわない現実が示されています。同庁は新たに1千万人のスポーツ人口を増やすといいますが、その施策はあまりに心もとないものです。

 最大の問題はスポーツ活動を阻む根源に目を向けていないことです。同じ調査では、スポーツができない最大の理由は「仕事や家事が忙しいから」(45%)でした。「お金に余裕がないから」も上位です。20代から50代のスポーツ実施率が落ち込んでいることも大きな特徴です。

 働き盛り世代が長時間過密労働を強いられるなど厳しい労働環境下で、スポーツする時間やエネルギー、お金を奪われている実情が浮かび上がります。

 しかし、施策の力点は企業などに労働環境の改善を求めるものではなく、働く側に向けられています。「通勤時、外出時の隙間時間のウオーキングや階段昇降」をすることをさかんにキャンペーンし、運動しやすい服装などを呼び掛けるものです。問題の根本を見誤ってしまっては、改善は遠のくばかりです。

 身近なスポーツ環境の整備も不十分です。公共スポーツ施設はこの20年間で6万5千カ所から1万3千カ所も減っています。いま国(総務省)は全国の自治体にたいし、「公共施設等総合管理計画」の実施を求めています。公共施設の統廃合など大削減計画を推し進め、その中でスポーツ施設が真っ先につぶされている事態も進行しています。

 英国には住居とスポーツ施設の距離が800メートルを超えると利用者が急激に減少するとの調査があります。身近な場所に公共スポーツ施設を整えることはスポーツ実施率向上のカギです。しかし、スポーツ庁の20年度の概算要求は412億円、うち体育・スポーツ施設整備費は62億円だけです。トップスポーツ予算が十分でない上に地域スポーツは置き去りです。

基本法の趣旨を生かし

 11年に施行されたスポーツ基本法には、スポーツ関係者や日本共産党が長年求めてきた“スポーツは国民の権利”との内容が初めて盛り込まれました。現実をそれに近づける施策が必要であるにもかかわらず、棚上げにされているのが実態です。

 来年は東京五輪・パラリンピックの年です。スポーツの真の発展は、豊かな国民的スポーツの基盤の上にあります。日本共産党はトップスポーツの発展とともに、国民だれもが気軽にスポーツを楽しみ、健康に生活できる環境づくりに力を尽くします。


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