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2019年10月17日(木)

台風19号被害

ロープ結んで救出

福島・南相馬

 記録的な豪雨をもたらした台風19号。福島県内では少なくとも7件の土砂崩れが発生し、犠牲者が相次いだほか家屋も流失しました。同県南相馬市原町区大原で、土石流が住宅を襲った現場は―。

 「何が起こったのか分からなかった。まさかこんなことが起こるなんて。怖かった、怖かった」。13日午前0時ごろ、降り続く雨音を、ドーンというごう音が切り裂きました。Aさん(68)が恐怖の瞬間を振り返ります。

 3世帯が暮らす小集落の背後にある山林から大規模な土石流が発生。Aさん宅は直撃を免れましたが、隣の夫妻の家が土砂にのみ込まれました。

 土砂の下で家から脱出できず、白タオルをかざし救出を求める夫の姿が見えました。Aさんは体にロープを結び付け、腰付近まである濁流の中を近づいていったといいます。

 夫の脱出を阻んでいた木の枠を工具で切断し救出。その後、駆けつけた消防の救助隊によって妻も救い出され、搬送先の病院でいずれも命をとりとめました。

 土砂崩れが起きた斜面には大量の岩石や土砂とともに、根元から引き抜かれたような杉の木が散乱。付近の砂防ダムも1基、流れ落ちていました。

 Aさんは「二次災害の危険が続く中、雨が降るたび避難所に身を寄せなければならない」と語り、一日も早い応急対策を行政に求めました。

 福島第1原発に近接し、事故から6年がたってようやく全市域で避難指示が解除された南相馬市。Bさん(69)は、かつて小高区の原発10キロ圏内に住んでいました。3歳と5歳、生後5カ月の孫たちの安全を考え、相馬市に移りました。

 ところが、新たな住まいが今度は河川の決壊で浸水。泥が乾き始め砂ぼこりが舞う中、乳児には大腸菌感染などの不安が。自宅の改修工事ができるまで仮の住まいを探そうと娘夫妻と相談しているといいます。「原発事故に続いて、再び住まいを移らざるを得ない事態になるなんて。安心して生活できる環境を政治に求めたい」(岡素晴)


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