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2019年10月16日(水)

きょうの潮流

 泥まみれのぬいぐるみが並んでいます。たんすや机、冷蔵庫やテレビ、畳やベッド…。日常の営みにある品々が川べりの道端に乱雑に積み上げられていました▼河川敷の遊歩道には巨木とともに、どこから流されてきたのかギターケースがぽつり。いつもはバーベキューやスポーツに興じる楽しげな光景は一変。看板やネットは倒れ、あたりは草木が絡みつく殺伐な姿に変わっていました▼きのう、多摩川沿いの二子玉川付近を回りました。本流や支流の氾濫、無堤防、処理できない雨水が市街地にあふれ出る内水氾濫と、いくつもの要因が重なった浸水。地下の電気設備に水が流れ込み、停電や断水する高層マンションも▼片づけに追われる傍らでは、お年寄りの夫婦が疲れ切った表情で座り込んでいました。国の調べで7県50以上の河川で堤防が決壊したという今回の大雨。いまも水に浸った地域や孤立した場所もあります。工場や店、農作物の損害をはじめ、どれだけの被害がひろがったことか▼経験したことがない大量の雨に専門家は新たな治水対策を求めています。これまでの考え方や枠にとらわれない抜本的な見直し。そのためには国の予算を振り分けることが欠かせないと▼長野の避難所では「シートの上に毛布1枚。眠れなかった」と嘆く被災者もいました。日本のように貧弱な避難環境では前向きな気持ちにもなれないでしょう。次々と列島を襲う未曽有の災害への備えとともに、きめ細やかな支援に国をあげてとりくむときです。


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