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2019年10月3日(木)

主張

日銀短観・連続悪化

増税の無謀さを改めて示した

 日本銀行が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で3四半期連続で悪化し、日本経済の低迷を改めて浮き彫りにしました。1日から消費税率が8%から10%に増税されたことに対し、国民から悲鳴と怒りの声が上がっています。日銀短観の連続悪化で、国民の負担を増やし消費をさらに冷え込ます消費税増税の道理のなさは、いよいよ明白です。

製造業では3期連続

 日銀の短観は、調査対象企業が多く、結果の発表も早いことから、注目されている経済指標です。業況判断指数(DI)は「良い」と回答した企業の割合から、「悪い」と回答した企業の割合を差し引いて、算出します。

 9月の調査では大企業製造業のDIが5ポイントで6月の調査より2ポイント悪化、中堅企業の製造業や、中小企業の製造業でも、3ポイント下がりました。6月の調査でも大企業製造業のDIは3月の調査より5ポイント悪化しています。3月調査も、昨年12月の調査から7ポイントも低下しており、大企業製造業では3期連続の悪化となります。大企業の非製造業でも、DIは2ポイント悪化しました。大企業非製造業でのマイナスは、2期ぶりです。

 安倍晋三政権が、「戦後最長」の「景気拡大」だと宣伝してきた日本経済の景気が、昨年末以降、悪化し始めていることを、改めて証明した形です。

 企業の景況感が悪化を続けているのは、国民の所得が伸び悩み、消費が低迷しているのに加え、米中貿易紛争などの影響を受けて、輸出もこのところ落ちこんでいるためです。今後の見通しについても、今年12月までに大企業や中堅企業製造業のDIはさらに3ポイント、中小企業製造業のDIは5ポイントも悪化するとしています。

 こうした企業の景況感の悪化に追い打ちをかけるのが、1日から強行された消費税の増税です。大企業非製造業のDIが、12月までにさらに6ポイント、中堅企業や中小企業の非製造業ではそれぞれ9ポイントも落ち込む見通しになっているのも、宿泊や飲食サービスを中心に、消費税増税の影響が懸念されるからだといいます。

 消費税増税の当日、スーパーやコンビニ、中小商店の店頭では、値札の張り替えなどの作業に追われました。買い物客や外食店の利用者は、買うもの、買う場所、買い方によって5通りもある税率に戸惑うとともに、レシートに書かれた税額に、改めて増税の痛みを実感しました。値上げも相次ぎ、増税の重みはジワリと国民の肩にのしかかってきます。

5%への減税を緊急に

 もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い、逆進性の高い悪税です。その増税が消費を冷やし、景気を悪化させることは明白です。消費税は、1989年に3%で導入されてから5%、8%と増税されました。安倍政権が5年半前に強行した8%の大増税による打撃はいまも深刻です。日銀短観の悪化は、今回の消費税増税の無謀さを鮮明にしています。

 消費税を8%、さらに10%へ増税した安倍政権の責任は重大です。消費税を安倍政権が増税する前の5%へ緊急に戻すとともに、廃止を求める世論と運動を全国津々浦々で起こしましょう。


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