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2019年9月28日(土)

地域医療構想

病床削減ありき 公的医療さらに遠く

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 安倍政権は病床削減の“目標達成”ありきで、なりふり構わぬ姿勢を強めています。26日に厚生労働省の会合で、公立・公的病院の分析対象の3割にあたる424病院が「統合再編の議論が必要」だとして実名を公表、“病床削減を進めろ”と圧力をかけました。同省は来年9月末までに再検討をまとめるよう都道府県に要請しますが、患者は公的医療からさらに遠ざけられることになります。

 国が狙う病床削減は、全都道府県につくらせた「地域医療構想」をてこにしたものです。現在のスピードでは2025年の期限までに病床削減の目標が達成できないとして、「もう一段の対応が必要だ」(根本匠・前厚労相)と問題視。▽都道府県に対して構想区域ごとの調整会議で、公立・公的病院に統合再編など「再検討」を要請▽重点区域を設定し、統合再編の方向性などについて直接助言―するといった対策を次々打ち出していました。

 今回、統合再編議論の対象とされた424病院は、「○○市民病院」「○○町立病院」など地域医療を懸命に守ってきた中小病院が多数を占めます。対象数の割合が一番高い新潟県は全体の半数を超える22病院にのぼります(表)。同県をはじめ、上位県の多くが「医師少数県」(厚労省推計)とされ、医師不足に苦しんでいるにもかかわらず、施設まで減らせという“住民不在”の考えです。

 現在を見ても、厚労省の18年度全国調査(25日発表)では、産婦人科や産科のある一般病院の施設数は28年連続の減少。統計を取り始めた1972年以降で最小の1307施設でした。小児科のある一般病院は2567施設で、25年連続減でした。安倍首相は「子どもたちを産み、育てやすい日本へ」などと豪語してきましたが、実態は真逆です。

 厚労省が424病院を選んだのは、がんや救急など診療領域で(1)他地域と比べて実績が少ない(2)近隣に同程度の実績を持つ病院がある―という機械的基準によるものです。地域の実情や住民の切実な声を踏まえないまま、「周産期医療を他の医療機関に移管」「夜間救急受け入れの中止」「一部病床を減少」「(高度)急性期機能からの転換」などの対応を例示し、公的医療体制の縮小を迫っています。

 地域医療を守る住民運動の反撃がいまこそ求められています。(松田大地)


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