2019年9月25日(水)
操縦士 夜間経験なし
高知沖米軍機墜落 上官も見落とす
事故調査結果 海兵隊が公表
米海兵隊は24日、岩国基地(山口県岩国市)所属のFA18D戦闘攻撃機とKC130空中給油機が昨年12月6日未明、高知県沖での夜間給油訓練中に接触し、墜落した事故の調査結果の概要を公表しました。操縦士は夜間訓練の経験がないにもかかわらず、上官が習熟度不足を見落として訓練に参加させたずさんな実態が明らかになりました。
概要によれば、FA18D2機が空中給油訓練に参加し、1機目は給油を完了して給油機の右側に位置をとりました。続いて2機目の同型機は給油後、給油機の左側に位置をとりましたが、これは空中給油後の定められた手順とは異なっていました。概要は、「2機目の操縦士は夜間の空中給油訓練を経験していなかった」と指摘。調査によれば、この操縦士は状況認識を失い、給油機の機体上空を左から右へ移動しようとした際、給油機の後部に接触し、両機とも墜落。あわせて乗員6人が死亡しています。
調査結果は、事故原因の一つとして、墜落したFA18Dの操縦士に夜間空中給油訓練の習熟度が欠けていたこと、所属部隊の上官が部隊の運用や訓練に関して「不適切な見落とし」をしていたことをあげています。
海兵隊は、事故機が所属していた部隊の隊長ら4人を解任しています。
飛行記録偽り訓練資格得る
米海兵隊専門誌「マリンコータイムズ」が独自に入手した事故報告書には、さらにずさんな実態が記されています。
同誌電子版(19日付)によれば、事故を起こした操縦士は部隊で有能と評価されていましたが、実際は訓練部隊での同期139人中133番目の成績でした。しかも、一定の資格に必要な飛行時間60時間に対して、実際はわずか13時間にとどまっていました。それにもかかわらず、この操縦士と教官は飛行記録を偽って登録し、夜間空中給油訓練の資格を得たといいます。結果として、初めての夜間空中給油訓練で重大事故を起こすことになりました。
米海兵隊の航空機はここ数年、重大事故を相次いで起こしていますが、その背景として機体の整備不足で飛行士の訓練が不足し、技量が大幅に低下していることなどが指摘されています。日本にも100機を超える海兵隊機が配備されており、人口密集地をはじめ、全土での飛行が野放しにされています。