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2019年9月19日(木)

きょうの潮流

 迷路の先に鎮座する角の鋭い悪魔。もがき、何かから逃れようとするペガサス。悪という概念を表した絵は、それとのたたかいを訴えかけてきます▼戦後のルーマニアで版画界を代表したマルチェル・キルノアガ。「われわれの心の内にある悪と世界にある悪を理解することが、私の作品の最も深い動機となっている」。本人の言葉にあるように、束縛された社会で人びとの願いを描いた作品は当時の欧州で高く評価されました▼いま日本共産党本部前のビルにある「みずさわ画廊」で「ファシズム・戦争・飢餓に抗する美術」展が開かれています。キルノアガの他にも、30年ぶりの公開という松山文雄の「深海魚」、終戦直後の貧困や混乱を映した中島保彦の絵が並んでいます▼時代をさかのぼる作品を、なぜ改めて現在に示すのか。主催者の水沢武夫さんは「為政者が思うままに情報を操作し、国民を迷路に引き込む。それがリアルに感じられる世の中だからこそ、彼らの絵がよみがえってくる」▼画廊には「表現の不自由展・その後」の展示中止に抗議し、表現の自由を守り抜くことを求める日本美術会の声明も。そこには「いま行政がなすべきことは、自分たちにとって都合の悪いものを隠したりやめさせることではなく、発表された作品に対する自由な意見交換を保証するための公共の場を守り広げていくこと」だと▼表現の自由は、人間の精神の自由や国民の知る権利を守ることにつながります。悪から解放された世界をつくるためにも。


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