しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年9月19日(木)

主張

安保法制成立4年

首相のごまかしは今や明らか

 安倍晋三政権が2015年9月19日、集団的自衛権の行使などを認めた安保法制=戦争法の成立を強行してから4年になります。この間、朝鮮半島をめぐる劇的な緊張緩和の動きによって「北朝鮮の脅威」という安保法制最大の口実が崩れる一方、米国が軍事攻撃に踏み切れば自衛隊が米軍とともにたたかうことになる同法制の危険性も明瞭になっています。

母子のイラスト掲げたが

 安保法制は、安倍政権が14年7月1日に閣議決定した同法制整備のための基本方針に基づき策定されました。安倍首相はこの時の記者会見で、北朝鮮の攻撃を受けた韓国から、赤ちゃんを抱いた母親を米艦船が日本に輸送していることをイメージさせるイラストを掲げ、次のように述べていました。

 「海外で突然紛争が発生し、そこから逃げようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送している時、日本近海において攻撃を受けるかもしれない。わが国自身への攻撃ではありません。しかし、それでも日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定です」

 ところが、実際はどうだったか。

 自衛隊の制服組トップだった河野克俊・前統合幕僚長は今年5月17日付の「朝日」インタビューで、北朝鮮の核・ミサイル問題が緊迫した17年に次のような対応をしたことを告白しました。

 「9月の国連総会でトランプ大統領は、北朝鮮が挑発をやめなければ『破壊する』と言った」「米軍が軍事行動に踏み切り朝鮮半島有事になる可能性を考え、16年に施行された安保法制の下で自衛隊がどう動くか、私の責任で統合幕僚監部で頭の体操をしました」

 さらに、米軍が北朝鮮を攻撃するレッドラインを問われ、「北朝鮮を放置すれば米国の国益を大きく損ねる段階を見極めるということです。やる、やらないを決めるのはトランプ大統領と安倍総理」「総理には随時米軍の態勢を報告していました」とまで語っています。

 河野氏の証言には、朝鮮半島有事で在留邦人を輸送する米艦船を守るなどという話はありません。安保法制の本当の狙いは、米国が自国の国益を守るために先制攻撃の戦争に乗り出した際、自衛隊も米軍とともにたたかうところにあることを証明しています。

 自衛隊による米艦防護については、安保法制に基づき18年には6回の任務に就き、米軍機の防護も10回行っています。実施されたのは、米軍との共同訓練時や米軍による弾道ミサイルなどの情報収集・警戒監視活動時でした。防護している米軍が攻撃されれば自衛隊はいや応なしに戦闘に巻き込まれ、日本の若者が血を流す事態になりかねません。

一刻も早い廃止が必要

 安倍政権は安保法制により、トランプ米政権の要求に応えて導入を進めるミサイル迎撃システム「イージス・アショア」でハワイやグアムの防衛が可能になるとしています。空母化される自衛隊艦船「いずも」から米軍のF35B戦闘機が他国への爆撃に出撃できるようになることも認めています。

 安倍首相のごまかしは今や明らかです。米国の戦争に日本が参戦し、自衛隊の海外での武力行使に道を開く違憲の安保法制は一刻も早く廃止することが必要です。


pageup