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2019年9月15日(日)

台風災害 首相の「指示」は発生4日後

国民生活ないがしろ

表

 台風15号の被害拡大に関し、政府の対応が後手に回っています。安倍晋三首相が閣僚懇談会で停電の全面復旧に全力をあげるよう関係閣僚に指示したのは大規模停電をもたらした9日未明の台風上陸から4日後の13日。千葉県内各地の停電や断水の深刻な被害が明らかになっても、安倍首相が内閣改造・自民党役員人事を優先させたことに怒りの声が広がっています。

 菅義偉官房長官は13日の記者会見で、安倍内閣の台風15号災害の対応について問われ、「今回の豪雨災害への対策は、大雨となる前から災害発生後にかけて、迅速かつ適切に行った」などと強弁。大規模停電や断水の被害が長期化した背景に、安倍内閣の危機管理の甘さがあったことへの反省はみじんもみられません。

 しかし、気象庁が8日の時点で、「首都圏を含め記録的な暴風雨の恐れ」と最大限の警戒を呼び掛けていたにもかかわらず、安倍首相は下村博文・前自民党憲法改正推進本部長の次男の結婚披露宴に出席した後は東京・富ケ谷の私邸にこもったまま。9日は、官邸で内閣危機管理監と気象庁長官から報告を受けながら、災害対策本部すら設置していません。

 経済産業省がやっと停電被害対策本部を設置したのは、安倍首相が関係閣僚に指示した13日になってから。停電や断水の被害の大きさが次々と判明し、復旧の長期化が懸念されているのに、11日の内閣改造で閣僚の交代を断行した結果、対応が遅れたのは明らかです。関係省庁災害対策会議などで対応を指示していた山本順三防災担当相も改造で担当を外れました。安倍首相が内閣改造に傾注したことで、災害被害をめぐる報道も片隅に追いやられることになりました。

 こうした安倍内閣の災害対応には、「最初の段階で関係省庁、副大臣、政務官を(ヘリで現地に)飛ばして、現場の情報をしっかり責任をもって吸い上げる対応をすべきだった。災害は常態化しているわけだから、安倍政権がそういう体制を取れなかったことは改めて驚きだ。何やっていたんだとなる」(元経産官僚の古賀茂明氏、13日放送のラジオ番組)などの批判が上がっています。

 政府・与党は、内閣改造や自民党役員人事を理由に、野党が求める閉会中審査や臨時国会の早期召集を拒んでいますが、台風災害への対応も含め、国民生活にかかわる問題は山積み。安倍内閣の都合を最優先し、国民生活をないがしろにする政権運営そのものの是非が厳しく問われます。


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