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2019年9月13日(金)

主張

辺野古新基地

「建設ありき」の異常が極まる

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地をめぐり、安倍晋三政権の「建設ありき」の異常な姿勢を際立たせる問題が次々と明らかになっています。この間、大浦湾の埋め立て予定区域に広がる軟弱地盤の改良工事で大規模地震を想定した検討をしていなかったり、現在埋め立てをしている区域から移植した絶滅危惧種のサンゴが死滅したりしていることなどが判明しました。「新基地ノー」の沖縄の民意に背き、無謀な工事の強行に固執するやり方は破綻しています。

大規模地震を想定せず

 大浦湾の埋め立て予定区域に存在する軟弱地盤は海面から最深90メートルに達します。国内には、水深90メートルの地盤改良工事ができる作業船はありません。

 しかし、今年1月、防衛省の委託でまとめられた報告書は、「地盤改良によって護岸や埋め立ての工事を所要の安定性を確保して行うことが可能」と結論付けました。この中で、耐震性を検討する条件として設定されたのは、供用期間中に発生する可能性が高い「レベル1」の地震動でした。専門家は、報告書が想定しているのは「せいぜい震度4」だと言います。

 空港施設の耐震性を検討する基準としては、「レベル1」のほか、東日本大震災級の最大規模の強さを有する「レベル2」の地震動があります。防衛省の委託調査では、この「レベル2」を想定した検討がされていませんでした。

 羽田空港や関西国際空港など全国の主要空港は、「レベル2」に対応した設計がされています。辺野古新基地には、完成すれば弾薬や燃料タンクなども置かれます。沖縄県は、県内の災害予測で、辺野古周辺の最大震度を6弱としています。防衛省の想定はあまりにも過少です。「レベル2」の地震動に対応しようとすれば、工期の長期化や工費の膨張は避けられません。そのため、「レベル1」での想定にとどめたのではないかという批判が上がっているのは当然です。

 防衛省が軟弱地盤の改良工事などについて有識者の助言を得るためとして設置した「技術検討会」も、8人の委員のうち4人が国土交通省や防衛省との関わりがあり、新基地建設推進の追認機関と指摘されています。

 これに対し防衛省幹部が「移設工事は決まっていて、意見をいただくのに、建設ありきではいけないのか」と述べたと報じられています(沖縄タイムス7日付)。本音をあからさまに語ったもので重大です。実際、6日の「技術検討会」の初会合では、設計の条件を「レベル1」の地震動に設定したことに異論は出ませんでした。

 防衛省は9日、昨年7~8月に埋め立て区域から移植した絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ9群体のうち3群体が死滅したり消失したりしたことを明らかにしました。専門家は、過去の研究で不適切だとされていた夏の高温期にサンゴを移植したことが要因だとしています。今後、防衛省が計画する7万4000群体のサンゴの移植が強行されれば、壊滅的な影響が出ることは間違いありません。

岩屋氏「難工事」認める

 岩屋毅前防衛相は退任前の6日の会見で、新基地建設について「難工事であることには違いない」と認めました。完成の見通しも立たず、大規模な環境破壊をもたらす新基地建設は中止すべきです。


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