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2019年9月8日(日)

きょうの潮流

 「かけがえのない核戦争の歯止めが失われることになる」。グテレス国連事務総長が厳しい言葉で警告したのは、中距離核戦力(INF)全廃条約の失効について、です。トランプ米政権の離脱を契機に8月2日に効力を失いました▼条約は核・非核の地上発射型巡航・弾道ミサイル(射程500~5500キロ)を全廃するため米国と旧ソ連が1987年に署名。翌年に発効しました▼失効後の1カ月、配備に向けた動きが進んでいます。米国防総省は8月18日にカリフォルニア州で地上発射型巡航ミサイルの飛行実験をしました▼すでにエスパー米国防長官は通常弾頭だとしつつもアジアに配備する意向を明言。米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の報告書(2月)は「専門家が最もありそうな配備先に挙げるのは日本だ」と指摘します▼現役の米海軍少佐はオンライン誌ディプロマット(8月30日)に寄稿し、グアムは「中国が完全に標的にしている」。代わりに奄美大島と宮古島、石垣島に自衛隊が新設・建設中の駐屯地を米軍ミサイル部隊と共同使用することを提案しています。南西諸島の戦場化を前提にした主張です▼エスパー発言の直後、オーストラリアのモリソン首相は豪州配備を拒否する考えを示しました。一方、安倍首相はINF条約失効について「米国の問題意識は理解する」「(米国の主張を)考慮する必要がある」。核軍拡競争を加速し、自国を戦場にしかねない動きでも米国追随。この政権の危うさがここにも。


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