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2019年9月7日(土)

辺野古 埋め立てへ“理論武装”

沖縄防衛局 第1回専門家会合

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、防衛省沖縄防衛局は6日、土木工学・地盤工学の専門家8人からなる「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」(委員長=清宮理・早稲田大理工学術院名誉教授)の第1回会合を防衛省内で開きました。今後の会合は未定です。

 政府は辺野古・大浦湾に広がる軟弱地盤の改良工事のため、沖縄県に埋め立て工事の設計変更申請を提出する方針。県民の民意に沿い、新基地建設を認めない立場を貫く玉城デニー県政に対抗するための“理論武装”を行うことが狙いです。

 会合では、(1)設計条件(地盤条件・波浪条件)(2)護岸構造の候補(3)地盤改良工事の候補(4)護岸・滑走路の要求性能・性能規定―について検討。地盤改良の工法については、サンドコンパクションパイル(SCP)工法とサンドドレーン(SD)工法を提示しました。

 また、会合では、水面下90メートルに達する軟弱地盤についても協議されたとみられます。

 地盤改良工事について、政府は大浦湾内に90隻を超える作業船を用い、7万7千本に及ぶ砂杭(すなぐい)を海底に打ち込みます。工事に必要な砂の量は東京ドーム5・25個分に相当する約650万立方メートルにおよびます。政府は工期を3年8カ月としていますが、沖縄県は辺野古埋め立てには最大で13年かかると試算しています。

 加えて、県は改良工事について(1)工事全体の環境影響が検討されていない(2)水面下90メートルの軟弱地盤に対して、水面下70メートルまでしか地盤改良が計画されていない(3)多数の作業船の航行で、ジュゴンやウミガメ、魚類などに影響を及ぼす―などの問題を指摘しています。

求められる科学者の良識

 「技術検討会」の運営要綱は、辺野古新基地について、「護岸や埋め立て地等の設計・施工・維持管理を合理的なものとするため、技術的・専門的見地から客観的に提言・助言を行う」ことを目的としています。最初から、「辺野古新基地ありき」の会合です。

 沖縄防衛局はこれまでも、辺野古の埋め立て工事でも環境に影響がないと強弁するために「環境監視等委員会」を設立し、専門家を任命しました。しかし、自らの学問的信念に基づき、複数の委員が辞任もしくは出席を拒んでいます。

 土木工学は英語で「Civil Engineering」と言われるように、住民の意志が前提です。民意に反した辺野古新基地建設推進に手を貸すのは、土木工学の本来の立場にも反しているのではないか―そう提起したい。

 (竹下岳)


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