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2019年9月7日(土)

消費税10% 子育て世代 直撃

月収10万円 耐えられない 水と豆腐で我慢

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(写真)「パートに行くのに2駅分歩いて節約しています」とBさん

 国民の多くの反対の声に耳を貸さず、安倍政権は10月から消費税を10%に引き上げようとしています。買いだめする余力もないほど“家計の底が抜けている”子育て世代。消費税増税は、経済的に弱い家庭を直撃します。

 東京都足立区で、持ち帰り専門の洋菓子店を営むAさん(45)。

 小学5年生と2年生の男の子の母親です。3年前にAさんが始めた洋菓子店の収入は「小遣い程度」。

 夫は年収170万円程度だったフランチャイズ店舗の店長をやめ、7月に独立したばかり。8月の収入は約10万円でした。

 国民健康保険税は子どもの人数分かかり、年収170万円で47万円も取られていました。さらに、2人分の国民年金で36万円も。

 「実家にいるので、水光熱費を母に払ってもらっているから暮らせますが、生活費にあてられる貯金の底が見えてきました。必死にためた学費分には手をつけたくない。消費税10%なんて、とても耐えられません」

 東京都目黒区のパート社員、Bさん(40)。「消費税が10%になったら、食費を削るしかない。水を飲んだり、豆腐を食べたりして腹を満たすかな。10%がかかる外食は大変なぜいたく、“すごいお楽しみ”になってしまいます」と話します。

 現在、家族3人の食費を月3万円に抑えています。小学6年生の一人娘は育ち盛り。1丁19円の豆腐を2丁使って揚げ出し豆腐を作り、おなかいっぱいに。「ポテトチップスは、1袋39円になったセール時にまとめ買いして大事に食べています」

生活切り詰め限界 増税やめさせたい

 洋菓子店を営むAさんもパート社員のBさんも、生活を切り詰めています。

軍事費増やす おかしいよね

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(写真)「国会を開いて増税を今からでも中止してほしい」と話すAさん

 Aさんは、休みの日は極力外出を避けています。「子どもは無料の博物館も、おとなは有料なので、子どもと夫にお弁当を持たせ、私は留守番します。映画や家族旅行も、年に1回行ければと思っています」

 平日は洋菓子店を閉めて働こうと、面接に行っています。

 「消費税を上げる一方で、軍事費を過去最高に使おうとするなんておかしい」と言います。「高齢者にも子育て世代にも全世代にやさしい政治にしてほしい。“もうだまされたくない、増税をやめさせたいね”と、PTAのお母さんたちと話しています」

 必死に食費を抑えるBさん。しかし、消費税が10%になる10月を前に、食料品の値上げが続いています。「同じ値段であっても、量が少なくなっていて悲しい」

 Bさんは週3、4日パートで働きます。学校が夏休み中はパートを休み、「銀行のお仕事体験」など無料のイベントを探して出かけました。

 こうした努力が実り、「ようやく高校卒業までの学費がたまりました。これから大学卒業までの学費をためたい」と話します。

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(写真)1駅先の安い八百屋まで歩いていくと話すBさん

 自身は学費が免除されたおかげで大学を卒業し、何とかここまできました。ところが、安倍政権の高等教育「無償化」策は年収270万円までとされ、子どもが同じように学費が免除される保障はありません。

 夫は病気で療養中です。「『大学からは私立でもいいよ』としたいので、教育資金を削るわけにはいきません」

出費を抑えて家から出ない

 小3、小1をはじめ、6人の子どもがいる埼玉県ふじみ野市のCさん(27)。生活保護を受けています。

 夫は職人で月によって賃金が変動します。国民健康保険料や税金の滞納分も払っており、「食べていくのにやっと」。

 6カ月から5歳までの4人の子どもは、幼稚園にも保育園にも入っていません。歩いて行けた公立保育園は廃園になり、入園料が無料の公立幼稚園は同市にありません。「車の免許も3人乗り自転車もないので、4人の送り迎えは無理です」

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(写真)洗濯物は大きな送風機で乾かします。「お金がなくて、クーラーは1階にはつけられません」とCさん

 出費を抑えるために、Cさんと子ども4人は月曜日から土曜日まで日中は家から出ず、子どもはテレビを見て過ごす生活です。

 オムツ代の節約のため、オムツ外しのトイレトレーニングを早く始めたいのですが、難航。4歳の子がようやく終わりました。

 「家族8人分の洗濯で1日が終わります。オムツや洗剤など、普段の買い物で生活が苦しくなる消費税は上げないでほしい」

 (染矢ゆう子)

「負担大きい」 20~40代女性の8割

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 大手広告代理店、博報堂の調査では、前回(2008年)よりも消費税増税の負担が大きいと答えた人は、「そう思う」「ややそう思う」をあわせると71%に達します。この傾向は男性より女性で顕著で、20代女性で76.7%、30代女性で77.7%、40代女性で81.6%です。

 負担意識が高い理由は「以前と比べて、収入が減った/少ないから」がトップ(48%)で生活苦が顕著です。(グラフ右)

消費税10%は困窮家庭直撃

立命館大学准教授 桜井啓太さん

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 7人に1人といわれる“子どもの貧困”。シングルマザーの子どもの場合は50・8%、2人に1人以上に跳ねあがります。「ひとり親の子育ては、社会から罰を受けているようなもの」という、立命館大学准教授の桜井啓太さんに聞きました。(都光子)

シングルマザーの子の貧困2人に1人

子育てが“罰”になる!

 子どもの貧困をどう解決するのか。OECD(経済協力開発機構)が昨年10月に発行したワーキングペーパーで、どのような社会政策が子どもの貧困を軽減できるか、国ごとにシミュレーションしています。

 そこに、日本が突出している数字が出てきます。ひとつが一人親世帯の現在の貧困率です。OECD34カ国の中で50%を超えるのは日本だけ。

就労すれば悪化 異常な国・日本

 そしてもうひとつ。シミュレート後のグラフです。すべての一人親が仕事をした想定のシナリオでは、どの国も貧困率は大きく改善します。しかし日本だけが、逆に悪化するのです。(54・7%→56%)

 いま政府は就労支援を熱心にすすめていますが、逆効果になるのです。その理由は、日本のワーキングプアのひろがりです。

 一人親家庭は、子育てと仕事とを養育者一人で担うため、二人親世帯よりも貧困に陥りやすい。さらに女性は、男女による賃金・昇進格差があります。出産・育休によって仕事を失いやすく、そこから非正規やパート労働になって収入がさらに低くなり、働いても楽にならないのです。

 シングルマザーの平均年収は270万円。5割前後が生活保護基準未満の所得で暮らしている。それなのに生活保護を利用している世帯は1割強しかいない。とても厳しい状況におかれています。

 残念ながら、今の日本社会では、一人親はリスクであり、一人で子育てすることはまるで罰を受けるようなものです。

 就労支援というなら、男女差のない賃金体系、正規非正規で差がつかない同一労働同一賃金など、労働政策の充実が先に必要です。

北欧の子育ては貧困のリスク減

 OECDの調査には、就労のほかにもうひとつのシナリオがあります。「子育てによる社会的不利(チャイルド・ペナルティー)を除去する」政策です。

 このシミュレーションでは、日本の一人親の貧困率は、54・7%→25・7%と半分以下にまで下がります。ここまで下がる国は日本だけです。(グラフ下)

 先進国では当たり前になっている公的な住宅手当が日本にはなく、公営住宅は新設されず減っています。

 安心して子どもを預けられる保育施設は十分ではありません。義務教育とはいえ、教科書以外に必要な教材費、給食代という負担。本当の教育無償化になっていません。

 そこにおいて、消費税10%です。今回は幼児教育・保育の「無償化」などが盛り込まれましたが、もともと保育料は応能負担なので、低所得層には効果は無きに等しいでしょう。学費も限定的で無償化とはいえません。

 よく比較される北欧は、日本よりも消費税率は高いです。それは高福祉だから可能なのです。これらの国々では、子育てをしている養育者を差別するような労働慣行は改められていて、制度として十分に補償されています。むしろ子育てしていない世帯よりも貧困リスクが少ない、つまりペナルティーではなくボーナスになっています。

 日本では、子育ては家族が負担するという意識が根強い。しかし、一人親も含めて、子どもを育てる上での社会的不利を精査し、罰するのではなく社会で分かち合う政策(子育ての社会化)こそ有効です。


 チャイルド・ペナルティー 労働経済用語。出産によるキャリアの中断(離職・転職)、再就職後の非正規雇用化、昇進面における不平等な取り扱いなどにより、子どもをもつ親と子どものいない人に賃金格差が存在し、それがそのまま貧困率の違いに現れます。このように子どもを育てることによって背負う社会的(特に賃金上の)不利をチャイルド・ペナルティーと呼びます。国ごとに雇用慣行や育児支援制度が違うため、その度合いは異なります。


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(拡大図はこちら)


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