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2019年9月5日(木)

きょうの潮流

 事故の分析のため追加的な調査ができる段階になったと、原子力規制委員会が調査再開の議論を始めました。東京電力福島第1原発のことです▼事故から8年以上たったものの、炉心溶融を起こした3基の原子炉建屋内は今なお高い放射線量のため人が近づけない場所が多い。今回、放射性物質が放出された経路や、重大事故対策として設置した機器の動作状況などの調査が可能になったと判断したといいます▼ただ、収束・廃炉に向けた解体で事故当時の痕跡が失われる恐れもあり、作業の優先順位をめぐる課題があるそうです。事故の原因究明は尽くされていませんが、第1原発の敷地を超える巨大な津波が襲い、すべての電源が失われ、未曽有の事故に至ったことは明らかです▼東電は「想定を大きく超える」津波だったといい続けています。しかし、対策をする義務を怠ったのではと東電旧経営陣3人の責任を問う刑事裁判では、さまざまな事実が判明しました▼津波対策が担当部署で早くから検討され続け、他の電力会社とも進ちょく状況の連絡を取り合い、社内の会合にも資料が出されていました。事故の3年前に敷地の高さを超える津波を計算しながら、対策が先送りされた詳しい経過も明らかに▼片や無罪を主張する被告は「津波についての問題意識はありませんでした」などと供述。およそ原発の運転や安全に責任を持つ経営層の態度とは思えない発言に驚きました。こういう態度が許されるのか。判決は今月、東京地裁で出されます。


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