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2019年9月4日(水)

九州北部大雨 きょう1週間

田んぼに油「全部ダメ」

佐賀・大町町

 佐賀県など九州北部をおそった大雨は4日で、被害発生から1週間がたちます。死者は佐賀、福岡の両県で4人に。床上・床下浸水は佐賀で1697棟、福岡で505棟、長崎で87棟など大きな被害が出ています。広範囲に浸水した佐賀県武雄市と大町町(おおまちちょう)の2万2051世帯に引き続き避難指示が出され、3日朝の時点で300人が避難所に身を寄せています。


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(写真)冠水により泥と油が付着した水稲=3日、佐賀県大町町

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(写真)8月末の大雨で冠水したままの道路=3日、佐賀県大町町

 大町町では、六角川周辺の冠水で佐賀鉄工所大町工場から約5万リットルの油が流出し、周辺の田畑に甚大な被害をもたらしました。

 佐賀県農政企画課によると、同町で油による被害が確認された地域の水稲は25・8ヘクタール、大豆は15・3ヘクタールです。

 水が引いた農地には、ところどころに帯状の油が浮き、オイル吸着マットによる回収作業が続いています。

 「田んぼは全部だめになりました。稲にも油が付着し、土の中にもしみ込んでいる。あと1カ月ほどで収穫だったのに…。このまま枯れてしまうのではないか」

 町内で農業を営む女性(73)は悔しい胸の内を明かします。

 女性は農家の2代目だった夫を昨年9月に亡くし、現在は兼業農家の息子と2人で農業を継いでいます。

 大雨では農機具倉庫も浸水し、トラクターやコンバイン、田植え機なども使えなくなりました。自宅も床上まで浸水し、家具や電化製品などを処分せざるを得なくなりました。

 女性は「先代から田んぼを守ってきたので、農業を続けたい思いはありますが、自宅の修繕にも多くの費用がかかる。今の状態で再起は考えられない」と語ります。

 佐賀県は、流出した油が広がった地域での農作物の出荷を停止し、補償制度の活用についての検討を始めています。

 大町町農林建設課の担当者は「まずは被害の全容を把握し、土壌や作物の状況についての調査を実施することを考えている」と説明します。(丹田智之)


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