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2019年9月3日(火)

主張

また米ヘリ窓落下

「被害ない」では済まされない

 沖縄県で米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に所属するCH53E大型輸送ヘリの窓(重さ1キロ)が落下する事故が起こりました。飛行中の機体から窓が外れるというおよそ考えられない事態であり、一歩間違えば惨事につながる重大事故です。同基地所属のCH53Eは2017年12月にも小学校(同市)の校庭に窓を落下させています。安倍晋三政権はこの事故の際には同型機の飛行自粛を求めました。しかし、今回はそうした考えがないことを早々に表明しています。「被害情報がない」というのが理由ですが、それで済まされる問題ではありません。

飛行自粛を求めない政府

 防衛省は、今回の窓落下事故について8月27日夕に沖縄本島東海岸沖から約8キロの海上で起きたと発表しました。一方、米海兵隊は落下場所に関し「乗組員が最後に窓を確認したのは海上だった」としているだけで、特定できていないことを明らかにしています。双方の説明は曖昧なばかりか食い違っており、あまりに無責任です。

 普天間基地所属のCH53Eは今回の事故や小学校への窓落下のほかにも、17年12月に保育園(宜野湾市)の屋根に円筒形の部品や、今年6月には中学校(浦添市)のテニスコートにプロペラの保護テープを落としています。

 沖縄県の統計によると、CH53Eをはじめ米軍機からの部品などの落下は1972年の本土復帰以降、昨年12月末までで70件とされていますが、全体の状況を反映したものではないとの指摘もあります。事故のたびに米軍が繰り返してきた「再発防止」がいかに不十分であるかを示しています。

 近年頻発している事故の背景については、米軍自身、2001年のアフガニスタン戦争から続く頻繁な実戦任務、専門技能者や修理部品の不足、財政難など構造的な問題を認めています。

 米海兵隊航空部隊の運用方針を記した18年版「海兵航空計画」も、CH53Eについて「16年間に及ぶ戦闘作戦が、数の限られている老朽化した航空機にストレスを加えている」とし、機体の維持に「幾重もの努力」が強いられているとしています。「再発防止」策だけでは根本的な解決にならないことも明白です。

 岩屋毅防衛相が8月30日の記者会見で、今回の事故で「被害が生じたという情報もない」と述べ、「飛行の自粛までは求めていない」としたのは重大です。昨年1月、衆院本会議で普天間基地所属機の事故が続発している異常事態を追及した質問に対し、自民党席の内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばし、辞任に追い込まれました。「米軍機が頭上を飛ぶ日常を想像する力もない発言という意味では(岩屋防衛相も)大して違わない」(沖縄タイムス8月31日付)という批判が上がっているのは当然です。

普天間基地の即時閉鎖を

 日米両政府は1997年3月、「公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性のある事件・事故」について「通報を迅速に行う」との合意を結んでいます。それにもかかわらず、沖縄県や市町村への事故の一報が2日後の8月29日夕だったことも大きな問題です。

 沖縄県民の命と安全を守るため、県民の総意である普天間基地の即時閉鎖・撤去こそ不可欠です。


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