しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年8月28日(水)

野党連合政権構想について

志位委員長会見 一問一答から

 日本共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、同日行った野党各党・会派に対する野党連合政権に向けた話し合い開始とそのための党首会談の開催の申し入れなどについて、記者の質問に答えました。その部分を紹介します。


写真

(写真)記者会見する志位和夫委員長=26日、国会内

話し合いの目的は

政権をともにする政治的合意、政権が実行する政策的合意、選挙協力の合意をめざしたい

 ――(申し入れで)各党の反応がどういうものでしたか。党首会談の具体的な時期を想定していますか。最終的には、この(連合政権)構想は野党でそろって統一した政策を示そうということなのでしょうか。衆院選でも候補者調整をしようという話なのでしょうか。あるいはもっと先にいって一緒の政党になることを見据えて動こうという話なのでしょうか。どこをゴールにしているのでしょうか。

 志位 今日は、まずは私たちの考えを先方にお伝えした、各党の幹事長のみなさんに書記局長からお伝えしたということです。今日は、中身に踏み込んでどうこうという話し合いを行ったわけではありません。(各党が)それぞれがお受けいただいて、党首に伝えていただくというお返事があったということです。

 今後の段取りは、私たちとしては、こういう呼びかけをさせていただき、できるだけ早くに次のステップに進みたいと思っておりますが、先方があることですから、私たちの方でいつまでと言うつもりはありません。お互いにとっていいタイミングで、具体的な話し合いに入っていければと思っております。

 そのうえで、「どこをゴールに」というご質問についてですが、私たちの提案は、野党連合政権構想をつくろう、そのための話し合いを開始しようという提案です。

 野党連合政権の構想と言った場合、まずなにが必要かというと、一つ目は、政権をともにつくるという政治的合意が必要だと思います。つまり、これまで協力して選挙をたたかってきた野党・会派で、ともに政権をつくろうという政治的合意――意思が確認されることが大事だと思っています。

 二つ目は、政策の問題です。これは(市民連合と5野党・会派が結んだ)13項目の政策合意がすでにあります。これを土台にしつつ、さらに国民のみなさんからみてより魅力のある内政・外交の共通の政策要綱――連合政権がとりくむ政策要綱を、しっかりとお互いに議論して練り上げることが必要になろうかと思います。

 そのさい、連合政権としてとりくむ課題はこうだという政策的な一致点を確認することが、たいへん大切になりますが、政策的な不一致点をどう処理するかについても、合意が必要になってくると思います。

 たとえば日米安保条約の問題、自衛隊の問題、天皇の制度の問題などについて、日本共産党と他の野党のみなさんとの間には違いもあると思います。私たちとしては、そういう相違点については、野党連合政権に持ち込まないということを早くから明らかにしております。

 それでは、相違点を持ち込まないのであれば、そういう政策的な不一致点について政権としてどういう対応をするのかということについても合意が必要でしょう。これについても私たちは、相違点を持ち込まない以上は、たとえば自衛隊について連合政権としての憲法解釈や対応をどうするかについてすでに態度を明らかにしておりますが、不一致点についての合意が必要でしょう。

 つまり政策的な一致点をしっかり確認して魅力あるものにすることとともに、不一致点についてはきちんと処理して、それが政権運営の障害にならないような形で、きちんと合意をしていくということが必要だろうと思っています。

 そして三つ目は、そうした努力と一体に総選挙での選挙協力について話し合っていく。小選挙区における選挙協力について、本当の意味での「本気の共闘」をつくりあげていく話し合いをやっていきたい。

 ですから私たちとしては、野党連合政権構想のための話し合いといった場合に、大まかにいって三つの合意が大切になるだろうと考えています。一つは、政権をともにする政治的合意。二つは、政権が実行する政策的合意。三つは、選挙協力の合意です。この3点がそろって、野党の共闘がほんとうに力あるものになる。そして国民のみなさんに「野党は本気だ」「本気でいまの政権をかえて新しい政権つくろうとしている」と“本気度”が伝わって、選挙で勝つことができると考えております。

 なお、これはあくまでも野党連合政権のための話し合いの呼びかけですから、最後におっしゃった政党として合併しましょうとか合流しましょうという話ではもちろんありません。それぞれの政党は、それぞれの政策的な立場をもっているわけでありまして、違うわけです。違いは違いとしてそれぞれ尊重しあって、リスペクト(尊敬)して、多様性を大事にしながら一致点で協力する。私は「多様性の中での統一」と言っておりますけれども、そういう立場で連合政権をつくろうという呼びかけであります。

どういう段取りで進めるか

それも話し合いで。同時に、共闘をバージョンアップするためには政権合意が必要になってくる

 ――3点目におっしゃった小選挙区での協力は具体的に、ここの選挙区はこういう候補といういわゆる候補者調整みたいなのも同時に始めていくようなお考えでしょうか。

 志位 どういう段取りでこの三つの問題を話し合っていくかということは、それも話し合いの問題だと思います。三つの問題を必ずこの順番でやるべきだということを主張しているわけではありません。

 ただ、これまでの経過についてここで説明しておきたいと思います。4年前の2015年9月19日、安保法制=戦争法が強行されたその日に、わが党は、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を提唱しました。そのときの提唱の考え方というのは、憲法違反の安保法制ばかりはこれを廃止して立憲主義を回復しなくてはならない、そのためにはそれを実行する政府(国民連合政府)が必要になる。その政府をつくるために野党が選挙協力を行おう。こういう呼びかけを私たちはいたしました。つまり「国民連合政府」を、野党が選挙協力を行う前提の問題――条件の問題として提案したのです。

 私たちは、国政選挙での選挙協力というのは、協力するからには国会での多数を獲得することをめざすわけですから、連合政権つくる――政権をともにするという覚悟を決めてやるのが筋だと思っております。私たちの4年前の「国民連合政府」の呼びかけはそういう立場でのものでした。

 ただ、政権問題については、野党各党間でなかなか合意が得られませんでした。そういうなかで参議院選挙が迫ってきた。そういうもとで、2016年2月19日、当時の5野党党首会談が開催され、安保法制を廃止しよう、安倍政権を打倒しよう、自公とその補完勢力を少数に追い込んでいこうという画期的な合意が成立しました。それをうけて私は、野党党首会談の場で、「こういう画期的な合意が成立したもとで、政権問題を選挙協力の条件にすることはしません。同時にその必要性についての主張は引き続きおこなっていきます」ということを表明したんです。

 つまり、政権問題については合意が存在しないもとで、それを横に置いて、まずは選挙協力をやろうということで、この3回の国政選挙にとりくんできました。それは一定の成果をあげたと思っています。

 ただ、次のステップに野党共闘を発展させる、野党共闘を画期的にバージョンアップさせるということを考えたら、やはり政権合意が必要になってくるのではないかというのが今度の提案なのです。政権問題での前向きの合意の必要性は、この4年間、私たちが共闘にとりくんできた痛切な実感ですし、ともにたたかってきた多くの方々もそれを感じておられるのではないでしょうか。

 そしていま私たちが直面している選挙というのは総選挙であるわけです。政権が問われる選挙です。その時に、野党が政権構想なしに選挙協力だけですむのかという問題が当然に問われてくる。政権構想をもたなかったら、自民党の側は、それを攻撃材料として突いてくるでしょう。そのことを考えても、ここはもう一歩、踏み切ろうではないかというのが今度の私たちの呼びかけであります。

 ――野党連合政権の枠組みと次期衆院選の候補者調整の枠組みは基本的に同じと考えていますか。

 志位 私たちとしては一体でやっていきたい。もちろん、政権問題での合意がなければ選挙協力の話し合いはできないというようなことは言うつもりはありません。同時に、共闘を本当に力あるものにするためには、さきほど言ったように、政権合意と、政策合意と、選挙協力の合意、この三つを一体で進めたいと考えています。


pageup