しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年8月25日(日)

きょうの潮流

 今から67年前。羽田から福岡にむかった旅客機が伊豆大島の三原山に墜落しました。搭乗の37人は全員死亡。前年の1951年に設立された日本航空の最初の重大事故となりました▼77年、アラスカのアンカレッジ空港を離陸した貨物機が直後に失速。機長から大量のアルコールが検出されました。82年には着陸しようとした旅客機が羽田沖に落ち、機長の「逆噴射」や精神状態が大きく取り上げられました▼520人が犠牲となった航空機史上最悪の事故が起きたのは、その3年後でした。日航は教訓を風化させず、安全運航の学びの場として社員向けに安全啓発センターを設け、一般にも公開してきました▼実際に見学してみると、墜落に至るまでの経緯や原因とともに機体の一部や破片、乗客の遺品や遺書が展示され、凄惨(せいさん)な事故の生々しさが伝わってきます。今年は相次ぐ飲酒問題についてのパネル展示も始めました▼しかし安全への誓いも新たにしたはずの今月、またも乗務前の検査でアルコールが副操縦士から見つかりました。専門家や関係者は、規制や罰則を強めるだけでいいのか、過密な勤務や職場の労働環境、健康管理にも目を向けなければ、と指摘します▼いまや、日航では85年の墜落事故後に入社した社員が9割以上を占めているそうです。安全とは命を守ること。その使命と責任をしっかりと胸に刻み、知識、技術、能力の限りを尽くす。自社の「安全憲章」に記された言葉は、社員だけでなく、会社にも向けられています。


pageup