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2019年8月23日(金)

子どもの医療費助成

9割が「中3まで」「高3まで」

厚労省調査

図

 全国すべての自治体が実施している子どもの医療費助成制度の拡充が、年々進んでいます。厚生労働省の2018年度調査で、高校卒業まで助成している市区町村は、通院と入院ともに全体の3割を突破。「中学校卒業まで」と合わせると、通院も入院も約9割に達します。その中で、自治体間の格差を解消するため、国に全国一律の助成制度の創設を求める動きが続いています。

市区町村に広がる 住民・共産党が運動

 厚労省が今月発表した調査結果では18年4月1日現在、都道府県の5割が通院時に、同4割が入院時に就学前まで医療費助成を実施。都道府県分に上乗せする形で、高校卒業まで助成している市区町村は通院と入院のどちらも3割を超えました。「中学校卒業まで」と合わせると、通院は88・9%を占める1548市区町村で、入院は95・8%の1668市区町村に広がっています。

 この10年間でみても助成制度は大きく前進しました(図)。お金の心配なく子どもが必要な医療を受けられるように、という粘り強い保護者らの住民運動や日本共産党の議会論戦の成果です。

自治体間格差

 自治体の努力の一方で、国には助成制度がありません。そのため、助成対象年齢の違いなどに格差が生まれています。通院時に窓口での一部負担金が「ない」市区町村は62・6%を占め、「ある」のは37・4%、通院助成に保護者の所得制限が「ない」市区町村は85・8%を占め、「ある」のは14・2%―となっています。

 全国知事会や全国市長会は「少子化対策の抜本強化」などを訴え、国が全国一律の子どもの医療費助成制度をつくるよう再三提起。国は逆に、小学生以上の「窓口無料化」を行う自治体へのペナルティー(罰則=国民健康保険への国庫負担減額)措置を続けており、全国知事会などはその廃止を求めています。

共産党も主張

 日本共産党も国の制度創設を訴え、国が小学校就学前まで所得制限なしで無料化するのを土台として、自治体独自の助成をさらに前進させようと掲げています。当然ペナルティー措置は廃止します。

写真

(写真)本田孝也医師

子ども医療費 国の責任で助成制度を

 一部マスコミは、助成制度が「過剰な受診の要因となる」と攻撃しています。しかし、実態はどうか―。

 全国保険医団体連合会(保団連)情報通信部長で理事の本田孝也医師の調べでは、0~19歳が通院した際のレセプト(診療報酬明細書)件数は、02~17年の間、1200万件前後で横ばいのまま推移(6月時点。08、09の両年だけ1千万件台に減少)しています。とても“過剰受診になっている”とは言えません。

 逆に、同年齢の時間外・夜間受診件数は全国で、06年度の72万件が17年度には52・8万件まで減少しています。本田氏は、助成制度の拡充で子どもが早めに受診できるようになり、病気の重症化が防止された結果と考えられると言います。

 本田氏は語ります。「所得階層の中で貧困層は虫歯の有病率が高いことが公的調査で分かっていますが、貧しくて医療にかかれない人を生みだす国の制度が悪いのです。社会保障制度の公平性のためにも、国の責任で子どもの医療費助成制度をつくるべきです。『財政難』というのは言い訳にすぎません。配備予定地の住民が強く反対しているミサイル迎撃システム『イージス・アショア』を米国から買うより、助成制度に使う方がよっぽど、ためになります」

 (松田大地)


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