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2019年8月19日(月)

主張

第65回母親大会

原点の地から新たな希望を

 「生命を生みだす母親は 生命を育て 生命を守ることをのぞみます」「一人ぼっちのお母さんをなくそう」のスローガンを掲げ続け歩んできた日本母親大会―。第65回となる今年の大会(同実行委員会の主催)は、24~25日に静岡県内で開催されます。

未来に歴史を語り継ぐ

 アメリカがビキニ環礁でおこなった1954年3月1日の水爆実験で静岡・焼津のマグロ漁船第五福竜丸が被ばくし、無線長の久保山愛吉さんが亡くなりました。当時32歳の妻すずさんは翌年開かれた第1回日本母親大会で「原水爆の犠牲は私を最後に」という夫の最後の願いと叫びを訴えました。

 日本母親大会は以来、二度と核兵器を使用させない、平和を守ろうと行動する多くの国民とともに、核兵器禁止を掲げてきました。国連で一昨年採択された核兵器禁止条約は、70カ国が署名、25カ国が批准しました。条約発効の可能性の広がりは母親大会を重ねてきた女性たちの大きな喜びです。

 ビキニ被災65年にもあたる今年の大会は、被災の実相と核兵器のない世界への展望を学び、たたかいを未来に語り継ぐ分科会・全体会など開催地・静岡ならではの企画が準備されています。静岡では、若い世代がビキニ被災を学ぶ場にと呼びかけ、20人の保育士が参加する保育園も生まれています。

 子育てや暮らし、働き方や環境問題など日々の生活の中で、女性たちが抱える悩みや困難は少なくありません。個人の尊厳が踏みにじられる職場のセクハラ、性暴力、賃金や昇給昇格の差別、社会や家庭で性別役割分担が当然とされている現実に、これまで先輩たちがたたかってきたように声を上げ、行動に立ち上がる新たな動きが始まっています。

 今年の母親大会では、女性たちの新しい運動の広がりについて国際的な到達点を知り、歴史的視野で学ぶ記念講演「女性差別撤廃条約採択40年―ジェンダー平等の実現めざして」(浅倉むつ子・早稲田大学名誉教授)が計画されています。

 みんなが集まって知恵を出し、学びあい、行動することで政治を変え、社会を変えてきました。今回の大会も、子どもや教育、暮らしや人権、女性の地位や平等などをめぐり、日本の女性たちが明日への希望と一歩を踏みだす勇気を熱く胸に刻むことのできる、つどいになるでしょう。

 「2020年に改憲」を表明した安倍晋三首相は、参院選で改憲を前面に訴えたたかいました。これに対し、国民は「改憲勢力3分の2割れ」の審判を下しました。にもかかわらず改憲をあきらめない首相の強硬姿勢は重大です。

改憲阻止の役割大きく

 母親大会が“生命を守る”として毎年の参加者の総意として引き継いできたことの一つに、憲法9条改悪を許さないという女性たちの強い意思があります。全国各地で開かれる母親大会も9条改憲を阻止する力となってきました。

 今年の母親大会でも、要求や課題を憲法の理念とつなげて語り合うことを通じ、参加者が憲法改悪を許さない世論と運動の担い手となり、全国での取り組みを広げることでしょう。日本母親大会が女性たちの願いと運動を総結集し、新しい発展をひらく場になることを心から期待します。


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