しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年8月15日(木)

夕張市長時代の鈴木道知事

市の利益10億円超損失

真下道議が追及

2.4億円で施設売却→約15億円で転売される

 この春、北海道知事に就任した鈴木直道氏は、夕張市長時代の財政再建を自慢してきました。ところが、お粗末な契約で市の利益を失っていたことが、日本共産党の真下紀子道議の道議会での追及で明らかになりました。その契約の中身とは…。


写真

(写真)厚谷司市長(手前)と懇談する真下氏(右端)ら=6月12日、北海道夕張市

 夕張市が2017年2月、2億4000万円で中国人経営者の呉之平氏が社長を務める中国系企業「元大リアルエステート」に「マウントレースイスキー場」「ホテルマウントレースイ」「ホテルシューパロ」、「ファミリースクールひまわり」の四つの観光施設を売却しました。

 しかし、わずか2年後の今年3月末、香港系ファンドに約15億円で転売されました。

 直接売却していれば、夕張市は10億円以上も多く受け取ることができたはずでした。

 「破格の安値で売却されたことで、夕張市の利益が失われたのではないか」―。真下氏は7月3日の道議会一般質問で、売却の経過と、転売禁止規定をあえて入れなかった理由を、当時の夕張市長であり、事務局に道職員を派遣していた鈴木知事に問い、説明責任をただしました。

 鈴木知事は真下氏に「売却にあたって雇用と事業の継続に積極的な事業者を優先した」と答えたものの、転売によって、夕張市は雇用継続や地域活性化の課題を直接確認することができなくなりました。

 「なぜ転売禁止規定を入れなかったのか」と理由をただした真下氏は、「事業者から現地法人を立ち上げ、地域に根ざして長年にわたり営業を継続するという積極的な説明があった」との夕張市議会での鈴木氏の答弁を示し、「口約束だけで転売禁止規定を入れずに破格の安値で売却したのか」と厳しく追及。知事は「説明を受けた」と口約束を認める驚きの答弁をしました。

 売却にあたって、香港の航空会社が10億円の購入資金を用意して市職員に接触していたことも聞くと、知事は「承知していない」と答えるだけでした。

 重要な報告をしなかったとしたら、市役所の連携不足で、市長の責任が問われます。

 真下氏の調査によると、売却の交渉権者を選ぶ「夕張市特定財産売却選考委員会」の会議録では、委員の多くが売却に難色を示し、一度は「売却しない」と採決していました。

 ところが、道からの出向職員を含む事務局が、優先交渉権者の選定が課せられていると説得します。異例の再採決が行われ、賛成多数で優先交渉権者に「元大リアルエステート」を決定しました。

 転売禁止規定は「元大」側が拒否。「途中から、M&A(合併・買収)による転売の話も出てきたので納得できない」と反対する委員もいました。

 真下氏は、選考委員会から報告を受けた際に鈴木市長が「これからさらなる状況確認と契約を締結できるか否かも含めて、さらにわれわれの方で話を進めていく」と語っていたと指摘。夕張市長時代を含め、鈴木知事の政治家としての責任が厳しく問われています。


pageup