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2019年8月15日(木)

きょうの潮流

 歓喜の母国語にあふれ返る街。「マンセー、マンセー」。独立万歳と、路上に出て電車の上まで乗ってさけぶ人びと。「とにかく、みんな興奮していた」▼日本の植民地初の帝国大学として、現在のソウルに設けられた京城(けいじょう)帝大。当時の日本人医学生たちが1945年8月15日に現地で目にした光景を証言しています(シリーズ『市民たちの戦争』)▼ようやく解放され自由がもたらされた喜び。朝鮮半島や中国をはじめ、日本によって侵略されたアジアの各地にこだました思いです。しかし肝心の日本では共有されてきませんでした▼“8月15日ギャップ”。日本とアジアの国々の間にある隔たりや大きなズレは以前から指摘されてきました。歴史的な転換点は互いに同じなのに、迎え方や気持ちに大きな落差があると。たとえば韓国では、その日を奪われた主権を取り戻す「光復節」として祝いますが、その意味がどれだけ日本に理解されているのか▼いま日韓の関係は報復や制裁がとびかうほど悪くなり、両国民の感情まで高ぶっています。背景に横たわっているのは、歴史認識の深い溝です。過去と向き合い不幸な歴史をくり返さないとの誓いを新たにするのか、それとも日本政府のように是とするのか▼この時期、国内は戦争犠牲者の追悼に包まれ、メディアも悲しみの特集を組みます。しかし、そこに被害をうけたアジアの姿はほとんど描かれていません。ギャップを埋める努力。それこそ、加害の責任を負う日本が果たすべき役割です。


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