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2019年8月14日(水)

参院選 共産擁立の統一候補座談会(上)

野党共闘 可能性ここに

伸びしろ実感する 松本さん

各党が決断に誇り 山田さん

“新しい形”喜ばれ 中林さん


〈出席者〉

福井(党公認) 山田和雄さん

鳥取・島根(無所属) 中林佳子さん

徳島・高知(無所属) 松本顕治さん

穀田恵二国対委員長・選対委員長


 参院選(7月21日投開票)の1人区で、日本共産党から立候補し、党公認や無所属で野党統一候補となった山田和雄さん(福井、党公認)、中林佳子さん(鳥取・島根、無所属)、松本顕治さん(徳島・高知、同)。各地でのたたかいぶりや、市民と野党の共闘の深化、共闘の今後について、穀田恵二国対委員長・選対委員長を交えて語り合ってもらいました。


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(写真)参院選野党統一候補座談会の(右から)山田、松本、中林の各氏。左は司会の穀田氏

 穀田 市民と野党の共闘の最前線のたたかいを担ったみなさん、改めてお疲れさまでした。選挙後、ともにたたかった野党各党の関係者から、みなさんへ「ほれたよ」「切れ味鋭いね」「さすがだね」といった評価をいただいています。市民と野党の共闘が始まって4年、共闘が大きく前進したと感じています。今日は、日本共産党が擁立し、野党統一候補としてたたかったみなさんならではの、現場のリアルな状況を伝えていただきたいと思います。

 松本 統一候補としての活動が本格化したのは、徳島、高知両県の市民団体と共通政策の「合意確認書」に調印した6月15日からでした。それから1カ月余りの超短期決戦で、自民党現職に10ポイント差まで迫ることができました。

 選挙後に各党や連合系の労働組合にあいさつに行くと、「惜しかったね。あと1カ月あれば勝てた」と言われます。当初は「共産党候補では勝てない」という声もありましたが、一緒にたたかった市民団体のみなさんが、「共産党出身でもたたかえた」と喜んでくれています。地元紙には“野党共闘の限界”みたいに書かれましたが、むしろ伸びしろしかないというのが実感です。

 山田 福井でもメディアの評価は、原発への立場の違いなどを見て「必ずしも一枚岩でない」といった否定的なものが多かったです。でも、各党はそれどころか「政治を変えるため、共産党の候補者でも良いんじゃないか」と決断してくれたんです。

 そこには、「政治を変える選択肢を示して市民に希望をもってもらうんだ、野党としての良識を発するんだ」という思いと、決断への誇りを感じます。社民党の方は選挙後、「共産党公認でたたかってよかった」「これで共産党への根拠のない偏見がなくなったのではないか」と言ってくれました。

 中林 鳥取・島根でも、メディアは最後まで“野党は足並みが乱れている”という結論ありきで、何とか私から「乱れている」の言葉を引き出そうとしてきました。でも、選挙後のメディアの分析によれば、例えば立憲民主党の支持層は7割以上私に投票してくれていました。野党候補一本化のために精力的に動いた「住民目線で政治を変える会・山陰」のみなさんは、選挙後、「新しい形の選挙戦ができた」と、とても喜んでくれています。

 穀田 「共産党の候補者でもたたかえる」と、各党や市民のみなさんに感じていただけたことは、今回のたたかいの重要な成果です。次の総選挙への突破口を開いたという点でも非常に大きな意味があると思います。


松本さん 人間的にも深く共闘

中林さん 共通政策で必ず一致

山田さん 共闘の姿に胸が熱く

穀田氏 共通認識が深まった

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(写真)徳島・高知選挙区 松本顕治さん

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(写真)鳥取・島根選挙区 中林佳子さん

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(写真)福井選挙区 山田和雄さん

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(写真)穀田恵二国対・選対委員長

 中林佳子(鳥取・島根選挙区・無所属) 「住民目線で政治を変える会・山陰」は工夫を凝らした選挙をしました。私の個人ビラを引き受け、とてもすてきなデザインとなりました。

 市民連合と5野党・会派との13項目の共通政策と、鳥取・島根独自の2項目の計15項目を載せて、「ナカバヤシ×ジブン」とあるんです。「選挙や政治を自分ごとにしよう」と、一人ひとりが賛同できる政策を選び、それぞれ中林と政策協定を結ぶ趣向です。公示直前に同会の集会で200人超と協定を結び、街頭演説でも協定書を持って来る人がいて、その場で結んだこともありました。

 穀田恵二国対委員長・選対委員長 野党各党からも多彩な方が応援に入りましたね。

 中林 そうですね。まず序盤に、小川淳也衆院議員(立憲民主党会派)が鳥取市に来てくれて、その場に野党が勢ぞろいしました。鳥取県委員長は「あれから雰囲気がガラッと変わった」と言います。

 中盤には今井雅人衆院議員(立憲民主党)が穀田さんと一緒に松江と米子に来てくれて、終盤には各党・会派の県議、市議が一緒にマイクを握ってくれました。みなさん、私の実績や人生をよく研究していて、おざなりの共闘ではなく心底応援してくれているのがよく分かる訴えでした。

 松本顕治(徳島・高知選挙区・無所属) 高知でも広田一さん(社会保障を立て直す国民会議)、武内則男さん(立民)の両衆院議員がずっと一緒に車に乗ってくれました。のどをつぶしてしまったときには「これが効くよ」と助言をくれたり、アナウンスを代わりにやってくれたり。

 徳島でも他党の方、地方議員の方がたくさん協力してくれました。徳島市議の増田秀司さん(立民・県連幹事長)は、僕が徳島にいない間、候補者カーに乗り、「松本けんじになりかわって」とあいさつしてくれました。政党や組織の違いを超えて人間的にも、政策的にも、3年前よりかなり深い共闘ができたなと思います。

 山田和雄(福井選挙区・日本共産党公認) 福井では何といっても立民の枝野幸男代表です。安倍晋三首相の「枝野さんが福井県民なら共産党に入れるのか」という攻撃に対し、共闘の大義を熱く語り、「野党統一候補の山田さんに決まっている。当然だ」ときっぱり言ってくれました。

 中谷一馬さん(立民)、篠原孝さん(国民民主党)の両衆院議員も、前日の依頼にもかかわらず応援演説に来てくれました。それと、野党各党の支持者から、各党の事務所に「なぜもっと山田を応援しないのか」といった電話がずいぶんかかっていたそうなんです。県委員長が支援のお願いで各党を回った時にそうした話を聞いてきまして。各党支持者のそんな形の支えもあるんだなと、大変うれしかったです。

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 穀田 選挙運動とともに、共通政策も市民連合との合意にとどまらず大きく発展しましたね。

 松本 13項目の共通政策が決まるまでは、正直なところ、少し不安でした。「今までの演説がマイナスの意味で縛られないかな」と。実際に出てみると、何ら内容を変える必要がないくらい踏み込んだものになっていて驚きました。

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(写真)「住民目線で政治を変える会・山陰」がつくった中林候補のビラ

 中林 率直に言って、鳥取・島根で野党統一が実現できるのか当初は不安がありました。そこで重視したのが共通政策です。これがあれば「無所属といっても共産党だ」という否定的な声があっても、「じゃあ、あなたは今の安倍さんの政治でいいのですか」と問いかけることができます。共通政策を訴え続けるならば、どの党の支援者であれ、どの労働組合であれ、政治を変えたいという思いは必ず一致できると、そこを信頼して訴えました。

 山田 13項目の一致点がしっかり土台にあるからこそ、互いの違いを尊重することもできたと思います。中谷さんが共産党の演説会に来てくれたときに、彼が持論の議員定数削減を訴えて「どうですかみなさん」と呼びかけたんです。共産党の支持者が多かった聴衆は「うーん」と戸惑った表情をしていて(笑い)。でも、中谷さんが共通政策を語るとワッと沸くんです。

 穀田 私もその場にいましたが、あれは面白かったですね。聞いている人もよく心得ていて、文句を言うのではなく静かに聞いて温かい拍手をするわけです。

 山田 同じ場で、篠原さんは「原発はゼロにしないといけない」と訴えました。国民民主党の考えとちょっと違うことを言ったものだから、沸く聴衆の横で、福井の国民の関係者が「うーん」って戸惑っていて。議員定数と原発と、二つの「うーん」を見て、「これが互いを尊重して、一致できる点で頑張ろうという共闘の姿なのかな」と思ったら胸が熱くなりました。

 松本 共産党が綱領で指摘してきた「財界中心」「アメリカ言いなり」の問題意識が、野党各党や市民のみなさんとだいぶ共有できるようになってきたなとも感じます。原口一博衆院議員(国民)が徳島で、財源問題で「お金を持っている人からちゃんと(税金を)取ったらいい」と演説してくれたんですね。

図

 僕が共産党に入党した18年前は、「財界中心」のゆがみを語っても「何言ってるの?」という雰囲気でしたが、今や共通政策にも「所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること」が盛り込まれ、街頭でも各党が踏み込んで訴えています。私たちのめざす方向が間違っていなかったと実感するとともに、今の政治を真剣に考えるなら、そのゆがみに目を向けざるをえなくなってきていると思います。

 中林 共通認識が深まった原動力は共産党国会議員団の論戦力だと思います。内部留保の問題をはじめ、大企業・富裕層優遇の問題を具体的に指摘し、麻生(太郎財務相)さんも認めざるを得ないところまで追及しているからこそ、他の政党も理を認めてくれるようになったのではないでしょうか。

 穀田 率直に言って、市民連合と5野党・会派で共通政策に合意した時は、各党で受け止めに温度差がありました。でも、街頭に出ると、米国製兵器の爆買いが話題になって「トランプさん言いなり」という話が出たり、「10月からの消費税10%はあかん」となって、財源の問題で何人もの方が「富めるものから取ろう」と訴え始めるんです。街頭演説で、私たちが口に出す前に、他の党の方々が訴える姿を間近で見ていて、選挙戦を通じて共通認識が深まったなと感じます。

(つづく)


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