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2019年8月8日(木)

翁長前知事 急逝から1年

沖縄県政策参与 照屋義実さんに聞く

覚悟受け継ぐ「オール沖縄」

 保守や革新などの政治信条や立場の違いを乗り越えた「オール沖縄」の先頭に立ち、命を賭して最後まで沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対を貫いた翁長雄志前知事の急逝から、1年がたちます。翁長前知事から県民・国民に託されたものについて改めて、前県政から県政策参与に就く照屋義実さん(建設会社・照正組会長)に聞きました。(前田泰孝)


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(写真)照屋義実さん

 翁長さんが志半ばで県民に惜しまれつつ逝去されてからのこの1年間は、昨年9月の知事選でオール沖縄の玉城デニー知事を誕生させたことをはじめ、県民の一人ひとりが翁長さんの遺志を受け継いで、辺野古新基地建設反対の揺るがない沖縄の民意を繰り返し示してきました。

 翁長さんは「保守・革新が対立したままでは上から笑っている人がいる」「心を一つにしてまとまっていかないと県民を救うに道はない」と覚悟を決めていました。

 新基地建設に反対する県民大会などの壇上で翁長さんが力を込めて訴えた、「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄県民をないがしろにしてはいけません)」「グスーヨー、マキティナイビランドー(皆さん、負けてはいけません)」という言葉が、県民の心に届いてしっかりと残り、オール沖縄の確固たる潮流が形成されてきたと理解しています。

 中央からのどう喝で辺野古新基地建設容認に転じた自民党県連から、どんな攻撃を受けようとも、翁長さんは「これが正しい生きる道だ」と、亡くなる直前に新基地建設の埋め立て承認の撤回を表明したことにみられるように、県民に向けて、強い覚悟を生き方で示しました。

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(写真)多くの県民が献花に訪れた翁長雄志前知事県民葬=2018年10月9日、那覇市

 今年2月に実施した新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票では、7割以上が埋め立て反対という結果になりました。県民の多くが翁長さんの覚悟や提唱を支持し続けています。

 県知事選、県民投票の時に若い人たちの頑張りがありました。翁長さんを慕い、たたえる若者が集まってきた。この若い人たちがたたかいの中で成長していけば沖縄は大丈夫だという場面が、いくつもありました。まさしく“DNA(遺伝子)”が受け継がれています。

 自民党支持者の中にも「沖縄の現状は異常だ」「安倍政権が推進する政策や方針は許せない」と思っている人はたくさんいます。経営者団体や業界団体の中にも、表立って声に出せなくても辺野古新基地はノーと思う人たちが、サイレントマジョリティー(静かなる多数派)として確実に存在します。県民の中に強固な岩盤のような辺野古ノーの意思がある。これも翁長さんの大きな業績です。

 翁長さんはオール沖縄のあり方について「腹八分、腹六分で、皆で心を一つに」と述べていました。今回の参院選でも一定の成果を出した全国の「市民と野党の共闘」も今後、翁長さんのいうあり方がますます大事になってくると思います。

 今の小選挙区制の下では政治を変える方法はこれしかない。野党がしっかりと心を一つにして安倍政権に対峙(たいじ)し、たたかっていくしかないと思います。日本共産党も志位委員長を中心にして追求してこられた野党共闘こそが、自民党政治に代わる新しい政治をつくる方法です。

 沖縄、そして全国で、安倍政権にノーを告げ、本当の意味での民主主義の回復を目指すたたかい、憲法に沿った政治ができる日本を取り戻すたたかいが、本格的に動き出していると思います。

 22日の偲(しの)ぶ会は、翁長さんへの感謝の思いを確認し、改めて遺志を引き継いでいくことを誓う場にしたい。

■沖縄県に関する1年間の主な動き

【2018年】

7月27日 翁長雄志知事(当時)が、辺野古米軍新基地建設の埋め立て承認を撤回する手続き開始を記者会見で発表

8月8日 すい臓がんのため翁長知事が任期中死去(享年67歳)

  29日 玉城デニー衆院議員(当時)が、翁長氏の遺志を継ぐ「オール沖縄」の候補として知事選に出馬することを正式表明

  31日 沖縄県が埋め立て承認撤回

9月30日 知事選でデニー氏が、安倍政権全面支援の相手候補に約8万票差、過去最多得票で圧勝

10月14日 豊見城(とみぐすく)市長選でオール沖縄の山川仁氏が勝利

  21日 那覇市長選でオール沖縄の城間幹子市長が再選

12月14日 安倍政権が辺野古の埋め立て土砂投入を強行

【2019年】

2月20日 ハワイ在住の沖縄系日系人のロバート・カジワラさんが呼びかけた、辺野古新基地建設の工事停止を米ホワイトハウスに求める電子署名の数が21万を超える

  24日 県民投票で投票者の約72%が辺野古埋め立てに反対の民意を示す

4月21日 衆院沖縄3区補選でオール沖縄の屋良朝博氏が勝利

5月29日 参院選に向けて国政野党などが辺野古新基地建設中止を含む「共通政策」に合意

7月21日 参院沖縄選挙区でオール沖縄の高良鉄美氏が勝利


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