しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年8月5日(月)

原水爆禁止2019年世界大会・国際会議

人びとと結び歩む 禁止条約参加 各国に迫ろう

第2セッション(核兵器禁止・廃絶と市民・運動の役割)

 3日に行われた原水爆禁止2019年世界大会・国際会議の第2セッションでは、「核兵器禁止・廃絶と市民・運動の役割」をテーマに議論しました。


世界へのメッセージ

米国 平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン議長 ジョゼフ・ガーソンさん

写真

 ニューヨークでの世界大会開催は、世界の注目を集め、核兵器のない世界へ国際的な人民の力を結集させる素晴らしい機会になります。そして、核不拡散条約(NPT)と核兵器禁止条約の約束実行を迫り、私たちの運動を強化する機会になります。

 その準備を始めるにあたり、世界大会のための動員の中核となるべき有数の核軍縮組織を私たちはすでに結集しています。今後数カ月の間に、環境、正義、宗教団体などにも参加をよびかける予定です。

 私たちは日本からの大規模な代表団の参加に期待していて、その受け入れができるよう、世界大会はリバーサイド教会で開催することにしています。また、グテレス国連事務総長に基調講演を要請しています。

 世界大会とともに集会、パレード、NPT再検討会議への1000万人を超えるヒバクシャ国際署名の提出は、集まった外交官と世界に強力なメッセージを送ることになるでしょう。

英政府に圧力かける

英国核軍縮運動(CND)・ロンドン地域副会長 ハンナ・ケンプウェルチさん

写真

 英国核軍縮運動(CND)は昨年、創立60周年を迎えました。核兵器に対する抗議に人々を動員してきました。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に参加していますが、ICANはノーベル平和賞を受賞しました。成すべきことはたくさんあります。

 英国政府は核兵器禁止条約の交渉をボイコットし、会議場の外で交渉に抗議する米国の記者会見に加わりました。容認できないことであり、引き続きロビー活動を行い、世論を高め、政府とすべての政党に、新たな道義的立場をとり、核兵器を廃棄するよう圧力を加えなければなりません。

 トランプの核態勢、イランとの緊張、核兵器がイギリスにとって「死活的に重要」という新首相の発言に強い不安を感じます。若い人たちが歴史を学び、平和運動の中で積極的役割を果たす力を得たと感じるよう、できる限りのことをしなければなりません。

日韓市民が協力して

韓国 社会進歩連帯政策・教育局長 キム・ジンヨンさん

写真

 北朝鮮の核計画や、安倍晋三政権が再び「戦争する国」にしようとするなど、東アジア全体の軍拡競争が本格化しています。韓国でも核武装化を保守政党が主張していますが、核軍拡競争への道を開くものです。

 すべての核保有国に核兵器をなくせと要求し、核兵器禁止を宣言し、核兵器のない世界への先頭に立つべきです。

 そのような圧力をかける手段となるのが、核兵器禁止条約です。日韓の平和運動が協力して、両国政府に禁止条約への参加をよびかけることを提案します。北朝鮮に対しても非核化に向けた措置をとるようよびかけます。

 安倍政権の憲法9条改悪に反対するたたかい、韓国からTHAAD(高高度防衛ミサイル)の撤退を求めるたたかいなど重要な平和運動を通じて、軍拡競争の悪循環を断ち切れると確信しています。

カギを握る共同の力

日本原水協事務局長 安井正和さん

写真

 世界の大勢は核兵器の禁止・廃絶へと向かっています。それは核兵器禁止条約への支持の広がりが証明しています。調印国は70カ国、批准国も24カ国に増えています。重要なことは、この条約が核保有国への大きな圧力となっていることです。

 「核兵器のない世界」を実現するためには、核保有国の妨害を打ち破らねばなりません。そのカギを握っているのは、世論と運動であり、市民社会と諸国政府の共同の力です。

 「ヒバクシャ国際署名」は1000万に達しようとしています。署名を日本で、世界で飛躍させましょう。

 2020年に開く「原水爆禁止世界大会イン・ニューヨーク」は、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれるもとで、最大の核保有国・米国から被爆者とともに核兵器廃絶を世界に訴えるきわめて重要な機会です。成功させるようよびかけます。

第3セッション(核兵器廃絶へ共同と連帯の推進)

 4日に行われた原水爆禁止2019年世界大会・国際会議の第3セッションでは、「核兵器廃絶へ共同と連帯の推進」をテーマに議論しました。


戦争よりも外交努力

アメリカのピースアクション ロザリー・ブルックスさん

写真

 トランプ政権の不安定さへの懸念から、米国人は核兵器が人類の存在にとって大きな脅威であることに気づきました。今、トランプ政権はイランとの戦争のリスクを高めています。私たちは戦争に断固反対し、誠実な外交努力をとり、イラン核合意を守るよう議会に働きかけています。

 来年の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、核兵器の脅威を再度社会に問いかける機会になります。この機会を最大限に生かし、核兵器廃絶のために世界中の声を届けたい。

 原爆が広島、長崎にもたらした惨害について学ぶ機会を得ましたが、被爆者の苦しみに心が痛みました。核兵器廃絶を求める被爆者の運動と、米国の公民権運動の共通点に気づきました。どちらも人間として基本的な権利を認めさせる運動です。その歩みはゆっくりですが、決してあきらめることはありません。

核配備禁止法を提出

スペインのデラス平和研究センター クロエ・ムールベテルさん

写真

 軍事支出こそが社会の軍事化の第一歩です。軍事支出が多くなれば、軍縮政策にも男女平等や教育、医療、気候変動の緩和といった政策に対する投資もできません。

 私の母国ベルギーでは、米国の核兵器がベルギー領土に配備されていることを確認する報告を受けて、左派で環境派の2政党がベルギーに核兵器を配備することを禁止する法案を提出しました。

 ベルギーの平和運動はやっとロビー活動ができるようになりました。これらが社会の反核世論を強めることにつながるよう期待しています。

 平和をつくりあげ、必要な投資を行い、軍事的暴力のない、人々と地球の健康と安全が守られた未来を築きましょう。核兵器は非人道的であり、人類が最も軽蔑すべき発明であることが現実です。私たち平和主義者こそ現実主義者なのです。

被爆者全面的に支援

フィリピン「平和を教え、平和を創ろう」 ゲレーロ・AG・サニョさん

写真

 2015年から国民平和大行進に参加しています。平和行進により被爆者の苦境を知り、彼らとともに核兵器のない世界を求めていこうと心から思いました。原爆投下から75年が近づく今、被爆者を全面的に支援していかなくてはいけません。

 私は活動家として被爆者が歩んできた同じ道を選びました。人々とつながりながら歩んでいます。日本では1500キロ以上、ヨーロッパでは3000キロを歩いてきました。

 私は75人の被爆者に関する本の編集を始めました。核兵器のない世界を求める被爆者の願いを実現したい。75人の手書きのメッセージから世界は被爆の実相を目にし、感じ、理解するでしょう。被爆者の願いをさらに世界に伝え、平和を勝ち取りましょう。各国の若者にも、来年の国民平和大行進に参加してもらいましょう。

沖縄から未来ひらく

日本共産党沖縄県議団団長 オール沖縄会議幹事 渡久地(とぐち)修さん

写真

 沖縄が日本に復帰してから47年が経過しました。復帰時に核兵器は撤去されたことになっていますが、日米核密約で有事の際に核兵器が持ち込まれる危険にさらされています。

 日本政府は県民を排除して名護市辺野古で米軍新基地の工事を強行しています。しかし、県民はいっそう団結し、たたかいと連帯の輪が全国や世界へと広がっています。

 2017年11月にはオール沖縄会議が、国際平和ビューロー(IPB)からショーン・マクブライド賞を受賞しました。

 昨年の県知事選、今年の県民投票、衆院補選、参院選でも新基地反対の圧倒的民意を示しました。野党の共通政策で新基地中止、普天間基地の即時返還が明記されました。オール沖縄のたたかいがオールジャパンのたたかいへと広がった歴史的な一歩です。安倍政権を退陣に追い込むことが一番の近道であり、民主主義と地方自治を守り、沖縄と日本の未来を切り開く道です。

軍事費を貧困解決に

国際平和ビューロー(IPB)共同会長 ライナー・ブラウンさん

写真

 スウェーデン平和研究所(SIPRI)によると、2018年に米国は7290億ドル、北大西洋条約機構(NATO)は1兆2000億ドルを軍備競争に費やしています。

 戦争や殺りくや利潤追求から地球を救おうとしているすべての人々との連帯と協力を発展させることです。

 欧州では若い人たちが気候変動に反対してストライキを行っています。平和運動を他の運動と結合せねばなりません。

 気候変動をめぐるたたかいは、一つの運動です。経済のグローバル化や移民政策、貧困をめぐる運動もあります。私たちはこれらの運動を一つにして、1兆2000億ドルの軍事費をこうした問題解決に充てるべきです。

 私は、最初の大規模な共同行動が2020年の原水爆禁止世界大会イン・ニューヨークだと思っています。みなさんがその準備に積極的に参加してほしい。


両セッション 日本の各団体代表が発言

市民の国際連帯止まらぬ

各国宗教者に署名広がる

 第2、第3セッションでは、日本の各団体代表が発言しました。

 全労連の長尾ゆり副議長は、韓国に対する安倍政権の道理のない輸出規制を批判するとともに、「いくら分断をはかろうとも市民レベルの連帯は止められない」と強調しました。

 韓国のソウルで5月に開かれた「非核・平和のための日韓国際フォーラム」で、日韓市民が核兵器廃絶の運動を連帯して進めることを確認したと紹介し、「安倍政治を一日も早く終わらせ、憲法9条を守り、核兵器禁止条約に参加する政府に変えるたたかいをすすめる」とのべました。

 新日本婦人の会中央常任委員の河村玲子さんは、核兵器廃絶に女性のたたかいが果たす役割を強調するとともに、参院選で改憲勢力を「3分の2割れ」に追い込んだのは、「草の根の市民運動の力と野党共闘の力」だと指摘。来年の被爆75年に向けて、「被爆の実相を知らせる原爆パネル展を徹底して広げ、次世代につなげていく。憲法が生き、核兵器のない世界の実現へ、ニューヨークの原水爆禁止世界大会に若い世代も一緒に参加したい」とのべました。

 モンゴルで6月に開かれたアジア仏教徒平和会議結成50年大会について報告したのは、日本宗教者平和協議会の森修覚事務局長です。

 大会宣言に核兵器禁止条約と核兵器廃絶を入れるよう求め、共同をよびかけると、議長や各国代表がヒバクシャ国際署名に応じてくれたことを紹介。「大会宣言に核兵器禁止条約を含めた核不拡散条約の履行などが盛り込まれた。アジアで宗教者の共同を広げていきたい」とのべました。


pageup