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2019年7月31日(水)

HTB(ハウステンボス)にカジノごりおし 長崎県

テンボス側「IRなくても…」

 安倍内閣が当面3カ所とするIR(カジノを中核とする統合型リゾート)の区域認定。長崎県佐世保市内のテーマパーク・ハウステンボス(HTB)へのカジノ誘致をねらう県は「第一弾目の区域認定に向けて全力を注ぐ」(中村法道知事、3月3日)となりふりかまわぬ動きをみせています。(竹腰将弘)


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(写真)ハウステンボス=7月28日(撮影・竹腰将弘)

 カジノをめぐり4月8日、県、佐世保市とHTBの間で重要な「基本合意」が交わされました。

 IRの誘致に向け、HTB内の約30ヘクタールの土地を候補地にするというものです。評価額を鑑定したうえ、市がHTBから候補地を買い取る契約で、正式にIR誘致が決定したときに発効するという条件付きです。

 候補地はHTBの総敷地面積の5分の1にあたる膨大なものです(地図参照)。このなかにはHTBの中心施設であるホテルヨーロッパなどもあり、市民からは「HTBがHTBでなくなるのではないか」という声も上がっています。

 HTBの澤田秀雄社長はこの日の記者会見で、IRの採算性に疑問を呈しながら「県や市には協力する」という姿勢をとりました。

根拠は崩れた

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 HTBでカジノ誘致にとりくんできた役員は、本紙に「カジノはもともとHTBの立て直しが色濃い話だった」と認めました。

 官民による「西九州統合型リゾート研究会」が経営破綻したHTBの起死回生策として2009年、カジノ特区を申請しましたが法的壁にはばまれ頓挫しています。

 格安旅行のエイチ・アイ・エス(HIS)が2010年4月にHTBを子会社にして再建に乗り出した直後から、社長になった澤田氏は「カジノに挑戦したい」と公言し、HTB再建策の中心にカジノを据えました。

 ところが昨年12月3日の決算発表記者会見で「IRは慎重にやらなければならない」と消極姿勢を表明。4月の基本合意で、IRへの関与は候補地の提供にとどめ、HTBは運営主体にはならないと明確にしました。

 「政府のIR施設の設置基準が決まり、澤田氏がやりたかったようなカジノはつくれないことがはっきりして、手を引いたのだろう」というのが行政関係者の見方です。

 澤田氏は最近のメディアの取材に「(HTBは)IRがなくても食べていける」(長崎新聞6月19日付)とのべました。

 徹頭徹尾HTB救済のためだったカジノ誘致で、当事者のHTBが“IRは必要ない”と言い出したのですから、カジノ誘致の根拠は崩れています。

申請させない

 県や市はHTBカジノ構想の優位性として、地域の高度な「合意」をあげます。しかし、それは県民、市民の中の根強いカジノ反対の世論を無視したものです。

 県内の幅広い著名人27氏が呼びかける「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」が活動を本格化させるなど市民の反対運動は新たな広がりをみせています。

 日本共産党の堀江ひとみ県議は「カジノ誘致の申請も、区域認定もさせないために『これだけ大きな反対の声がある』ということを県民と力を合わせて示したい」と話します。

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