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2019年7月26日(金)

米軍立ち入り“事前承認不要”

墜落事故新ガイドライン

日本の主権放棄明確化

 日米両政府は25日の日米合同委員会で、基地外での米軍機の墜落事故に関するガイドライン(指針)改定で合意しました。新指針は、米軍機が基地外の公有地や私有地に墜落・不時着した場合、米軍は日本政府当局や土地の所有者から「事前の承認なくして…立ち入ることが許される」と明記しました。

 従来の指針では、正文である英文には「事前の承認なくして」(without prior authority)とされている一方、日本語訳(仮訳)には、「事前の承認を受ける暇(いとま)がないときは」と記されており、食い違いが生じていました。今回の改定で、この食い違いを解消して、米軍が基地外の私有地・公有地を一方的に封鎖する権限を“明確化”したといえます。著しい主権放棄です。

 米軍機事故をめぐっては、2004年の沖縄国際大や17年の沖縄県東村での民間牧草地への米軍機墜落で、米軍が現場を封鎖して所有者や日本の警察・消防隊員も立ち入ることができない事態となっていました。

 また、事故機至近に張られる「内周規制線」について、従来の指針では立ち入りの規制は「日米相互の同意」で行われるとしていたものの、実態は米軍が排他的に規制。東村の事故では数日にわたり、日本側当局者が立ち入りできませんでした。

 これについても、新たな指針では、米軍が全ての残骸、部品などに関して「資格を有する者のみに合衆国の機密の装備又は資材へのアクセスが付与される」と明記。日本の捜査当局に事故機の差し押さえの権限がないことを明確化しました。

 その上で、内周規制線への立ち入りについて、有害物質の影響軽減や事故調査、損害賠償請求に関連する立ち入りは「迅速かつ早期に行われる」としています。ただ、米側が立ち入りを拒む余地が残されています。

 沖縄県や基地を抱える都道府県で構成される渉外知事会は、▽基地外における米軍財産について、日本国の当局が捜索、差し押さえや検証を行う権限を有する▽日本当局が主導して現場を統制する―ことなどを要請しています。


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