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2019年7月25日(木)

きょうの潮流

 はずかしい話ですが受験から数十年たっても、入学試験の夢を見ることがあります。入試は受験する人にとって人生にもかかわる大問題です。ところが、その入試をめぐって深刻な事態が起きています▼問題になっているのは現在の高校2年生から受験する大学入学共通テストの英語の試験。民間が実施する複数の検定試験を導入しますが、さまざまな矛盾が噴出しています▼先日は参入を予定していた八つの民間試験のうち、TOEIC(トーイック)が撤退を表明しました。受験料の引き下げや地方への試験会場設置などを求められ、「対応が困難」と判断したといいます。要は割にあわないからやめたということでしょう。受験生や高校現場への影響が心配されます▼民間試験の導入には当初から英語教育関係者などから強い懸念と批判の声が出ていました。高校での英語教育との整合性もなく性格の違うさまざまな試験の間の公平性を保てるのか、受験料が高く経済的な格差が生まれる、受験会場が少ない地方がある―など問題点があまりに多い▼TOEICの撤退は入試を民間任せにすることの無謀さを端的に示しています。大学入試への民間試験導入を議論した文科省の有識者会議などは、英語教育関連企業・団体の幹部が多数メンバーになっていました。強引な導入の裏に利権の影が見え隠れします▼試験の実施はもう来年です。このままでは大きな混乱も起こりかねません。政府や企業の都合で受験生を振り回すことはやめるべきです。


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