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2019年7月6日(土)

きょうの潮流

 人は行動に移すまでにどんな過程をたどるか。ある自治体が発行した環境学習の手引書に一つの例が示されていました▼「気づき→理解→評価→行動」。気づきとは、これまで目を向けていなかったことに気持ちを向ける。理解とは身の回りで起きていることを認識する。評価とは知り得た情報や理解したことを考え、判断する。そして行動とは気づき、理解し、考えたことを実行に移す▼「もっと早く逃げていれば」。西日本豪雨の被災地を回ったとき、何度も耳にしました。異常気象がもたらす、ばく大な量の雨。土砂崩れや河川の氾濫、恐るべき速さで迫る浸水。気づいたときには、どうすることもできなかったと▼多大な被害を出した岡山・真備町。ここでは50人をこす犠牲者の8割が住宅の1階で亡くなっていました。屋根にのぼって救助を待った被災者は「みるみるうちに水位が上がってきた」と恐怖におびえて▼あれから1年、九州北部の集中豪雨から2年。追悼に包まれる列島は記録的な大雨に襲われ危機は各地に。命を守るための一人ひとりの行動とともに問われているのが、国や行政の対応です。監視体制、情報や呼びかけ、避難先の整備。住民の行動を後押しする役割が急がれています▼林野、河川の対策をはじめ現実は災害に強い国づくりには程遠い。行政には限界がある、個人の責任だと突き放しては「災害弱者」をひろげるだけです。「この国の政治は、国民の命を守ろうとしているのか」。被災者の切なる叫びは今も。


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