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2019年7月4日(木)

無給医問題の徹底調査

問われる国・大学の責任

 全国の大学病院にいる2000人を超える医師・歯科医師が、診療をしているのに給与が払われない「無給医」だったことが、文部科学省の調査で分かりました。各病院が調査中の医師はまだ1304人おり、今後さらに増える可能性もあります。一方で、自己研さんなど「合理的な理由」があるとして給与が払われない医師が3594人もおり、徹底究明が求められています。

 同省が6月28日に公表した調査結果では、99大学の108病院に勤務する医師3万1801人のうち2191人が無給医でした。

 その実態は大学院生などで、表向きは自己研さんや研究目的ですが、実質的に労働していたり、診療のローテーションに組み込まれたりしていました。多くは雇用契約を結ばず、労災保険も未加入でした。

医師ユニオン声明

 全国医師ユニオンの植山直人代表は、今回の調査結果について、「人の命を預かる場で違法行為が続けられていることに驚きと怒りを禁じえない」と指摘。「大学病院任せの調査であり、氷山の一角と考えられる。原因を徹底的に明らかにする必要がある」との声明を出しました。

 雇用契約がなければ労働時間の管理もされず、医療事故が起きた場合の責任の所在もあいまいになって患者の権利が損なわれかねません。しかし、資格認定や人事などで不利益をかぶることを恐れて声を上げられない実態があると指摘します。

 文科省はこれまで無給医の存在を認めてきませんでした。厚労省もこの問題で大学を指導したことはありません。一方で、「医師の働き方改革」では、過労死ラインの2倍の長時間労働を認める方針を打ち出しており、姿勢が問われます。

 植山氏は、速やかに雇用契約を結ぶとともに未払い賃金を払わせること、研修医と同じように大学院生についても身分や権限を国が定めるなど再発防止策を求めています。

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