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2019年7月3日(水)

選択的夫婦別姓 「経済成長と関わりがない」

首相 発言に批判

不要というのか 苦しんでるのに

 インターネット動画サイト「ニコニコ動画」で行われた党首討論(6月30日)で、安倍晋三首相が、選択的夫婦別姓制度が必要かどうかを質問され「経済成長との関わりがないと考えている」などと発言したことに、関係者や識者から強い批判が出ています。


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 党首討論で立憲民主党の枝野幸男代表が、同姓の強要が経済分野で女性の社会参画を妨害しているとして、選択的夫婦別姓制度の必要性を安倍首相に質問しました。安倍首相は、「夫婦別姓の問題ではなく、しっかりと経済を活性化させ」ると回答。司会者がさらに「選択的夫婦別姓制度はいらないという返答でいいか」と問うと、「いわば経済成長と関わりがない」と答えました。

 ツイッター上では、夫婦別姓を選べないのは憲法違反だとして裁判をおこしているソフトウエア開発会社社長の青野慶久さんが「安倍総理『経済成長とは関わりがない』とのこと。つまり不要ってことらしい」と指摘。ジャーナリストの津田大介氏も「経済発展に寄与しないという認識の歪(ゆが)みから始まって選択的夫婦別姓制度を経済問題とだけ捉えることの浅薄さ」と批判しています。

 内閣府の第4次男女共同参画基本計画では、選択的夫婦別姓制度の導入の検討を推進するとしています。法務省の調査(2017年)では、通称含め別姓が可能となる法改正をよいとする意見は計66・9%です。

 mネット・民法改正情報ネットワークの坂本洋子理事長は、この問題は人権の問題だと強調。4人に1人の働く既婚女性が改姓による社会生活上の不便や不利益のため、旧姓を通称使用しているといいます。「給与や社会保険や運転免許証など公的な書類でも戸籍名が必要で、苦しい思いをしている人もいます。政府は通称の使用拡大で解決しようとしていますが無理があります」と指摘します。

 坂本氏は、安倍首相のいう女性の輝く社会は「耳ざわりの良い言葉を使っているだけ」だとも批判。「男女の賃金格差は大きく、安倍政権下で女性の非正規雇用も増加。政策も大企業を優遇するものばかり。政治は弱者を守るためにあります」と語りました。

 日本共産党は、政策「個人の尊厳とジェンダー平等のために」で、選択的夫婦別姓を実現する民法改正をすみやかに行うと提案しています。


■ニコニコ動画の党首討論で、選択的夫婦別姓についての安倍首相の回答

(選択的夫婦別姓は女性の社会参画のためには不可欠では、と問われて)

「いわば夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を活性化させ、みんなが活躍できる社会をつくっていくことではないか」

(司会者から「選択的夫婦別姓制度はいらないという返答でいいか」と念押しをうけて)

「経済成長との関わりあいがないと考えている」


”女性活躍”とも矛盾

 選択的夫婦別姓の法制化を求める訴訟代理人・作花知志(さっか・ともし)弁護士の話 安倍首相の態度は、少子高齢化が進み「働き手が足りない」なかで、女性の働き手を増やすために厚生労働省が「十分に活躍できる環境を整えることが急務」としていることとも矛盾します。

 夫婦別姓制度が認められないことが、女性の社会進出を妨げていることは明らかです。大学の先生が旧姓を使用できないために論文の検索に不便をきたしている、私企業に勤める女性が結婚して姓が変わることにより、婚前の顧客とのつながりを断ち切られる可能性を強いられているなど、例はいくつでもあります。また、氏が変わることを公表することで、結婚したというプライバシー権の開示が義務付けられる結果となります。別姓を認められないために、圧倒的に女性が不利益を被っているのです。

 別姓の選択が可能になることによって、働き手が増えることはあっても、減ることはありません。


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