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2019年7月3日(水)

きょうの潮流

 昨年公開のアメリカ映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」や「記者たち/衝撃と畏怖(いふ)の真実」、韓国の「1987、ある闘いの真実」…。海外の骨太作品を見るたび、うらやましく思っていました。ついに日本でも…。公開中の政治サスペンス映画「新聞記者」です▼原案は東京新聞・望月衣塑子(いそこ)記者の同名ノンフィクション。しかしタイトルはむしろ官邸直轄の情報機関「内閣情報調査室」の方がふさわしい。映画が描くのは、私たちが知りうることのできない官邸権力とメディアの闇です▼モチーフにしているのは、森友・加計学園問題を想起させる現在進行形の政治事件。公文書改ざん、スキャンダルの隠蔽(いんぺい)…。観客は映画と現実を重ねながら、これらの事件が何一つ解決していないことに改めて気がつくでしょう▼映画では現政権を守るためならマスコミを操作し、スキャンダルをでっちあげることすらいとわない「内調」の暗躍ぶりが描かれます。最近発売の新書『内閣情報調査室』によれば、官邸機能強化と特定秘密保護法成立に伴い、存在感を強めているとのこと▼映画公開前のシンポジウムでは、「自分の身に降りかかったこと」として元文部科学事務次官の前川喜平さんがこう語りました。「(内調は)政権の権力維持・拡大のため私兵化している疑いが濃いのではないか」▼ヒロインの女性記者が松坂桃李さん演じるエリート官僚に投げかけた言葉「私たち、このままでいいんですか」。主権者である私たちへの問題提起にも。


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