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2019年6月27日(木)

きょうの潮流

 梅雨の時期、各地の山野で花が咲きそろいます。忙しくて山に行けなくても気軽に近くで楽しめるのがアジサイです▼ビラ配りの途中、ポストインしたお宅の庭先に瑠璃色の丸い固まりをよく見かけます。花と見える部分はがく。七変化といわれるほど色が変わります。目にしみるのはやはり紫に近い青色です。この彩りがなければ梅雨はさらに憂鬱(ゆううつ)な季節だったでしょう▼紫陽花(あじさい)の字は中国、唐代の詩人、白居易(はくきょい)の詩に由来します。杭州(こうしゅう)のある寺で人知れず咲く名もない花に思いを寄せ「人間(じんかん)に在りといえども人識(し)らず/君のために名づけて紫陽花(しようか)と作(な)す」とよみました。白居易の詩は平安時代の日本で大人気。当時この詩をもとに日本古来のアジサイに紫陽花の字をあてたと伝えられます▼白居易が見たのは実はアジサイではなく、別の花だったそうです。誤解から生じたことのようですが、絶妙な当て字です▼白居易の詩風は平易さ。作詩後、字の読めない人に読み聞かせ、わかってもらえるまで書き直したと逸話が残っています。そして、民をしいたげる政治に批判の目を向けました。苦労して売りに来た炭を役人に奪われた老人の嘆きをよんだ「売炭翁(ばいたんおう) 宮市(きゅうし)に苦しむなり」と題する作品もあります。わかりやすさにこだわったのは詩を通じて世を正そうとしたからといわれます▼選挙でも人々の苦しみに心を寄せた、わかりやすい訴えが支持を広げます。「くらしに希望を」と語るビラが、アジサイの家の人の心にも届くことを願いつつ。


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