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2019年6月21日(金)

きょうの潮流

 かつてそこは香木を運ぶ港でした。芳香を放つ木材の集積地となっていたことから、いつしか島全体が香港と呼ばれるようになったといいます▼イギリスの植民地から中国への返還。大国にほんろうされながら世界的な観光・金融都市として発展してきました。2014年、香港人の精神を象徴するという九龍の獅子山に巨大な垂れ幕が現れました。傘のマークに「我要真普選」の文字。私は真の普通選挙を求めるというスローガンは当時の雨傘運動のシンボルでした▼それから5年。この街がふたたび雨傘に埋め尽くされました。犯罪容疑者の身柄を中国本土に引き渡すことができる条例の改定案に反対する200万人のデモ。以前より何倍にもふくれあがり、市民の4人に1人が参加するほどに▼改定案は無期限の延期に追い込まれました。しかしデモを呼びかけた民主派団体は、あくまでも撤回と香港政府トップの行政長官の辞任を要求。デモを暴動とみなし、警察が催涙弾などで鎮圧したことの責任を追及しています▼植民地時代、香港には民主主義はなくても自由はあったといわれました。戦後は稼ぐ自由や文化の自由も。中国の干渉が忍び寄るいま、「公民抗命」の自由が失われる危機感が若者たちを中心に深まっています▼それにしても雨傘運動といい、フランスの黄色いベスト運動といい、国民や市民が立ち上がれば、政治や社会を動かせることが現実に。変化を求める人びとの声は日本にもひびきます。それを、さらに広く大きく。


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