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2019年6月20日(木)

現実を直視し、安心の年金へ

党首討論 志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長と安倍晋三首相が19日に行った党首討論でのやりとりは次の通りです。


写真

(写真)党首討論する志位和夫委員長(左)と安倍晋三首相(右端)=19日、国会内

 志位和夫委員長 冒頭、昨夜の(山形県沖)地震で被災されたみなさまに、心からのお見舞いを申し上げるとともに、二次災害等、被害の拡大防止に万全をつくすことを政府に求めます。

志位 「『マクロ経済スライド』を続け、さらに貧しい年金にしてしまうことこそ無責任で、ばかげた政策だ」

 志位 金融庁が、夫婦の老後資金として公的年金以外に「30年で2000万円が必要」とした報告書を公表したことが、年金への不安を広げております。

 年金への不安はこれにとどまるものではありません。「マクロ経済スライド」による給付水準の引き下げという大問題であります。

 直近の「公的年金の財政見通し」によれば、「マクロ経済スライド」は、現在41歳の人が65歳で年金を受け取れるようになるまで続き、これによって受け取れる年金の水準は、平均的な高齢夫婦世帯で月額4万3千円、30年間で約1600万円も減らされます。

 先日の参院決算委員会で、わが党の小池晃議員が、「『マクロ経済スライド』はやめるべきだ」と求めたのに対し、総理は、「(年金は)給付と負担のバランスで成り立っている」「やめてしまうというのは無責任で、ばかげた政策」と言いました。しかし、いまでさえ老後の生活を支えられない貧しい年金を、「マクロ経済スライド」を続けて、さらに貧しい年金にしてしまうことこそ、私は無責任で、ばかげた政策と言わなければなりません。(「そうだ」の声)

志位 「高所得者優遇の保険料のあり方をただし、『減らない年金』にする財源にあてることを提案する」

 志位 「マクロ経済スライド」を中止しても、「給付と負担のバランス」をとる手だてはいくつもあります。私は、その手だての一つとして高額所得者優遇の保険料のあり方をただすことを、今日は具体的に提案いたします。

 いまの年金保険料は、月収62万円、ボーナスを含め年収で約1000万円を超えますと、保険料負担が増えない仕組みになっています。年収が約1000万円の上限額を超えますと、2000万円の人も、1億円の人も、みんな保険料は同じ年間95万5千円です。

 そこで提案でありますが、約1000万円のこの上限額を、健康保険と同じ約2000万円まで引き上げる。そのことによって約1・6兆円の保険料収入が増えます。そのさい、アメリカでやっているように、高額所得者の年金給付の伸びを抑制する仕組みを入れる。そうすれば、それによる給付増分を差し引いても、毎年約1兆円の保険料収入を増やすことができます。この1兆円を、「マクロ経済スライド」をやめ、「減らない年金」にする財源にあてる。これが私たちの提案であります。

 総理に端的に問います。年収1000万円を超えますと保険料が増えなくなる高額所得者優遇の保険料のあり方、これをただすべきではないですか。端的にお答えください。ただすかどうか。

首相 問いに正面から答えず、「マクロ経済スライド」の廃止を「ばかげた案」と繰り返す

 安倍晋三首相 あの、まあ、この議論で大変残念なのは、先ほどの党首の議論でですね、年金のいわば積立金が枯渇するというときに拍手が起こったことでありますが、私は、そういう議論はですね、そういう議論はすべきではないですし(志位氏が「私の質問に答えてください」と抗議)、テレビを見ている方々がおられますからですね、大切なことも述べなければいけないわけでありまして、年金の…基礎年金のですね、運用については、44兆円プラスになっているということは、はっきりと申し上げておきたいと思いますし、マクロ経済スライドについてのご質問でございますが、マクロ経済スライドについてもですね、先ほどらいお話をさせていただいておりますように、これは、平均寿命が延びていきますから、給付は増えていく。そして、生産年齢人口が減っていきますから、当然これは、被保険者は減っていく。その分を調整、調整していく、そうした落差を調整していく数字によってですね(「そんなことは聞いていない」の声)、将来の受給者の所得代替率を5割を確保していくというもの、確保していくというものでありまして、それがいま発動されて、しかもそれが0・9から0・2になったということは、まさに改善したということを申し上げているわけであります。先ほどさんざん毀損(きそん)されましたから、そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。

 その上において、共産党の主張は、マクロ経済スライドを廃止して、将来の受給者の、えー、これは給付、その上でなおかつ将来の受給者の給付は減らないようにする上においては、これは7兆円の財源が必要でございます。みなさんは、その財源がある、こうおっしゃっています。7兆円というのは巨大な財源であります。巨大な財源があるというのは、これはまあ、かつて聞いたことがあるような話でございますが、それはそう簡単には出てこないわけでございます。

 いずれにいたしましても、私たちはですね、このマクロ経済スライドという形においてですね、おいて、いまの、あのー、いまの形でですね、マクロ経済スライドの形において、それを発動させていくことによって、いまの、いまの受給者と将来の受給者のバランスを図っていく、あるいは将来の給付と受給の…給付と負担のバランスを図っていきたいと、こう考えておりますが、いま志位…志位委員がおっしゃったご提案についてはですね、これは、まずはちゃんとですね、検証しなければ、その数字は明らかでないわけでありますし、1兆数千億円でまかなえるものではなくて、7兆円というまったく枠が違うわけでありますから、いずれにいたしましても、マクロ経済スライドをですね、やめてしまうという考え方は、これはもう一度申し上げますが、これはばかげた案だと思います。

 国家基本政策委員会合同審査会 佐藤勉会長 時間がまいっておりますので、簡潔にお願いいたします。

志位 「いま政治に求められているのは、貧しい年金の現実を直視し、安心の年金に変えるための責任を果たすことで、報告書の隠ぺいではない」

 志位 私は、「減らない年金」にするための具体的提案をやった(「そうだよ」の声)。それに対するお答えは一切ありません。7兆円というのは、(「マクロ経済スライド」廃止の財源ではなく)私たちの暮らしを応援する政策のパッケージでやる財源なんです。

 この問題は、「マクロ経済スライド」をやるということは、いまの年金の水準を6割から5割に現役世代との所得代替率を減らすわけでしょう。これは減っていくんですよ。

 私は、いま政治に求められているのは、貧しい年金の現実を直視して、安心の年金に変えるための責任を果たすことだと、(金融庁の)報告書を隠ぺいすることじゃないということを申し上げて終わります。(大きな拍手)


 マクロ経済スライド 毎年度、物価や賃金の伸びにあわせて年金額を改定する際、改定額を物価や賃金の伸び以下に抑えることで実質削減する仕組みです。年金額の改定は前年度の年金額に「改定率」を乗じて行われますが、実質削減は「改定率」から「スライド調整率」を差し引くことで行われます。「スライド調整率」は、保険料を負担する被保険者の減少と、年金受給者の平均余命の伸びに基づいて設定されます。


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