しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年6月15日(土)

DNA型保管は違憲

捜査終了後廃棄せず 保育士が提訴

名古屋地裁

 重要な個人情報であるDNA型を警察が捜査の終わった後も保管し続けているのは、憲法13条の人格権などを侵害し違憲だとして、名古屋市の50代の女性保育士が、国にDNA型や指紋のデータ削除と150万円の損害賠償を求める訴えを13日、名古屋地裁に起こしました。

 訴状によると、女性は2014年に迷い犬のチラシを同市天白区内の電柱に張りました。愛知県警天白署は、そのことが「市屋外広告物条例に違反している」として、女性に出頭を求めました。女性は2日にわたる取り調べで、年収や趣味、車の車種など事件と関係ないことを根掘り葉掘り聞かれた上、問答無用に写真と指紋、DNAを採取されたといいます。

 採取する際、警察官から任意だから断ることもできるといった説明はなかったとしています。その後、女性は書類送検され、不起訴となりました。女性は知人から、DNA採取を拒否できることを知らされ、天白署に抗議し、データの削除を求めました。しかし、同署から返答がなく、「データが削除されていないことは明らか」と主張しています。

 訴状は、捜査が終わったのに、DNA型を警察がデータと保管することについて「個人に『被疑者』としてのスティグマ(否定的評価)を死ぬまで負わせるという点で、個人の尊厳を根底から踏みにじる」などとのべ、違憲だと指摘しています。

 また、各国ではDNA型のデータベース化にあたって廃棄などのルールを明確に定めているのに、日本では法律もなく、無制限に保管していることの違憲性も問うています。

 警察庁が日本共産党の塩川鉄也衆院議員に提出した資料によると、「被疑者DNA型記録」として同庁のデータベースに18年末までに登録されているDNA型は116万件余り。その他を合わせると計約121万件となっています。


pageup